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第二十二章④
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魔物が消え、詠美はライエルの胸に倒れ込んだ。
「ハァ……ハァ……見たか、騎士!この王の『究極の愛の矛盾』を!貴様の『愛の試練』は、私が全て乗り越えてやる!」
ライエルは、詠美をそっと支え、静かに言った。
「ああ、見た。よくやった、詠美。もう休め」
ライエルの目には、「この愛の矛盾が、次の島でどんな恐ろしい魔物になるのか」という、新たな不安が浮かんでいた。
ゼルガディスは、ロープから解放され、ミリーに向かって叫んだ。
「師よ!私に幻聴で『孤独』を囁いたあの魔物は、『愛の矛盾』で打ち破られました!私の『孤独の美学』こそ、『愛の試練』の真理です!」
「もういいよ、ゼル」
ミリーは、クッキーを拾い上げ、笑った。
こうして、詠美の『愛の矛盾』という新たな力を得た一行は、『賢者の島』へと向かうのだった。
ライエルは、「次こそは、普通の敵と、普通の状況で戦いたい」と、心の中で強く願っていた。




