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第二十一章②
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ライエルは、町娘の手編みの花束を片手で優雅に受け取ると、詠美の方向に向かって、まるで詠美に捧げるかのように、高らかに宣言した。
「俺は、この花束をくれた町娘よりも!……お前の『呪いのローブ(愛の裁縫)』の方が!……『斬新なデザイン』で、『霊的な力』が宿っていると信じている!」
ライエルは、真顔で、全力で恥ずかしい言葉を叫んだ。
「お前は、世界一、不器用で! 世界一、食い意地が張っていて! 世界一、厄介な……俺のロードだ!」
詠美の嫉妬の感情は、ライエルの究極に恥ずかしい『厨二病設定補強』と『素の欠点指摘』によって、一瞬で『羞恥の極み』へと上書きされた。
「な、ななななッ!!!!」
詠美の体から、嫉妬と怒りと屈辱が混ざり合った『強烈な黒い鎖』が噴き出した。それは、トカゲ戦の比ではない、港町全体を吹き飛ばしかねないほどの力だった。
「レオンハルト!ゼルガディス!抑えろ!」
ライエルは叫んだ。
港町サファイアの空は、一瞬で嫉妬の黒い魔力に包まれた。詠美の『不治の病』は、ここにきて最終ステージを迎えたのだった。




