第二十章④
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その時、一人の町娘が、ライエルに駆け寄ってきた。
「あの……衛兵様!私、あなたに一目惚れしました!どうか、私の『愛の試練』を受けてください!」
町娘は、ライエルに手編みの花束を差し出した。
ライエルは、面倒くさい事態に顔を歪ませたが、ふと、詠美の顔を見た。
詠美は、ライエルと町娘の間に、『究極の嫉妬の試練』が始まったと確信し、『怒りと羞恥』で顔を歪ませていた。
(くっ……!騎士め!私に『嫉妬の試練』を課すことで、『愛の力』を引き出そうとしている!よかろう!『王の嫉妬』、見せてやる!)
ライエルは、冷静に考えた。ここで町娘を優しく拒絶すれば、詠美は『王の愛の勝利』と誤解し、嫉妬の魔力が発動しない。
彼は、騎士の倫理を捨て、コメディ展開と詠美の能力開花のため、あえて町娘に優しく微笑みかけた。
「ありがとう。では、この『愛の試練』、受けて立とう」
ライエルの行動は、詠美の『不治の病』を再発させるための、騎士としての苦渋の決断だった。
「な、なななななななッ!!!!」
詠美の体から、嫉妬と怒りと屈辱が混ざり合った『強烈な黒い鎖』が噴き出した。
それは、トカゲ戦の比ではない、港町全体を吹き飛ばしかねないほどの力だった。
「レオンハルト!ゼルガディス!抑えろ!」ライエルは叫んだ。
港町サファイアの空は、一瞬で嫉妬の黒い魔力に包まれた。
詠美の『不治の病』は、ここにきて最終ステージを迎えたのだった。




