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第二十章 港町サファイアと裁縫セットの最終決戦
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荒野を抜け、一行は賑やかな港町サファイアに到着した。
海風が潮の香りを運び、賑やかな人々の声が響いている。
詠美は、ポチの背中で、道中ひたすら取り組んでいた『愛の試練』の成果を、『王の威厳』として披露しようと意気込んでいた。
「フン!騎士よ!この港町こそ、『王の新たな領土』!そして、貴様が課した『家庭的な愛の試練』の成果を、今こそ見よ!」
詠美が着ているローブは、確かに破れは塞がっていたが、その縫い目は芸術的なまでにランダムで歪んでおり、場所によっては布がひきつれ、左右非対称な奇妙なデザインに変貌していた。
ライエルは、詠美のローブを一瞥し、顔を覆った。
「詠美。そのローブは、直したというより、『呪いの衣装』に近くなっている。港町の人々がお前に恐怖を抱く前に、すぐに脱げ」
「な……ッ!何を言うか!貴様の『冷酷な批判』は、この王の『不器用な愛』への『最高の賛辞』なのだ!貴様は、この『究極のデザイン』のローブを、誰にも見られたくないほど『独占』したいのだな!」
詠美は、ライエルの『ファッションセンスへの純粋なツッコミ』を、『独占欲という名の激しい愛の告白』だと盛大に誤解し、ますます誇らしげに胸を張った。




