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第十九章 裁縫は愛の試練!港町へのドタバタ行進
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魔王城の壮大な城門を出て数時間。
一行は、次の目的地である港町を目指し、荒野を歩いていた。
詠美は、ポチの背中で木の枝の剣を杖にしながら、『王の威厳』と『裁縫の不器用さ』という二重の戦いに直面していた。
ライエルから与えられた『究極のプロポーズ(誤解)』の裁縫セットで、破れたローブを修繕中なのだ。
「フン!騎士よ!貴様が私に『家庭的な愛の試練』を課すならば、この王、その『愛の針』で運命を紡ぎ切って見せよう!」
しかし、詠美の裁縫はあまりにも酷かった。
縫い目はガタガタ、糸は絡まり、布は引きつれ、破れがさらに広がってしまった。
ライエルは、詠美のローブをチラリと見て、静かに言った。
「詠美。裁縫は『愛の試練』ではない。ただの『応急処置』だ。その縫い方では、魔物に襲われる前に、ローブが自己崩壊する。もう少し、縫い目を揃えろ」
「な……ッ!何を言うか!貴様の『冷酷な指摘』こそが、この王の『不器用さ』を愛している証拠!貴様は、私の『完璧ではない姿』を求め、『献身的に指導』することで愛を表現しているのだな!」
詠美は、ライエルの『単なる指導』を、『究極の愛情の表れ』だと誤解し、ますます顔を赤くした。
裁縫は全く上達しない。




