第十六章③
3
しかし、詠美は、砂埃の中からゆっくりと立ち上がった。
彼女の目には、痛みではなく、恍惚とした喜びが浮かんでいた。
「くっ……!効く!『騎士の愛の鞭』が、この王の『不治の病』に、最高の『刺激』を与えてくれる!」
詠美は、『肉体の痛み』を『ライエルの愛情表現』だと誤認し、力が発動しないにも関わらず、ひたすら魔将軍へ突っ込んでいった。
その姿は、あまりにも滑稽で、哀れで、そして壮絶だった。
「レオンハルト!ゼルガディス!援護だ!」
ライエルは叫んだ。
「ハァ!仕方ない!僕の『美学』から、これほど遠い光景もないが、僕の『美学』のために、魔将軍の『無感動装甲』を剥がす!」
レオンハルトは、優雅な詠唱を放棄し
「うるさい!邪魔だ!」
という素の怒りを込めた魔術を連射。
ゼルガディスは、ロープを自ら噛みちぎりながら、叫んだ。
「王よ!その『ドMな愛』は、『厨二病の尊厳』を捨てる行為だ!ならば、私は『師匠への究極の忠誠』で、貴様を『正気に戻す!』」
ゼルガディスは、『師匠への一途な恋心』という、彼にとっての『最も純粋な感情』を、闇の魔力に変えて魔将軍に叩きつけた。
レオンハルトの『素の怒り』魔術と、ゼルガディスの『師への純愛』魔術が、魔将軍の『無感動装甲』をわずかに揺るがせた。




