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第十六章②
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一行がホールの中央まで進むと、城の守護者が現れた。
それは、巨大な鎧をまとった魔将軍だった。
その鎧は、詠美の力が効かないよう、『無感動』と『純粋な悪意』でコーティングされている。
魔将軍は、低く唸った。
「侵入者め。特にその『浅薄な愛の病』を持つ小娘!貴様の魔力は、この城には通用せん!」
ライエルは即座に剣を構えた。
「詠美!魔力が通用しない!援護を!」
「フン!何を言うか、騎士!貴様、私に『愛の鞭』を与えておきながら、今度は『実戦』という名の『最終試練』を与えるのか!」
詠美は、魔将軍がライエルの仕掛けた『愛の試練』の最終ボスだと、完全に誤解した。
「受けて立つぞ、魔将軍!貴様が、騎士の『ドSな愛』の具現化ならば、この王は、『究極のMな受け身』で貴様を打ち破る!」
詠美は、木の枝の剣を構え、魔将軍めがけて猛然と突進した。
彼女の戦い方は、『愛の鞭』に対する『肉体の献上』という、完全に間違った方向へ向かっていた。
魔将軍は、詠美の突進を巨大な拳で打ち払った。
ドガッ!という鈍い音と共に、詠美は壁まで吹き飛ばされ、砂埃に埋もれた。
「詠美!」
ライエルが駆け寄ろうとする。




