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第十五章③
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詠美の体から噴き出した魔力は、昨日までの漆黒の鎖とは異なっていた。
それは、黒と金が混ざり合った、破壊的な『絶望の波動』だった。
詠美は、『拒絶された悲しみ』と、『それでもライエルを失いたくない』という『矛盾した愛』を、全力で叫んだ。
「行かないで! 私を……っ、私を置いていかないでよ!バカ!」
詠美の絶叫は、そのまま『異質な力』となって、魔王城の結界に叩きつけられた。
ズドドドドンッッ!
魔王城の結界は、『怨念の魔力』を吸収するどころか、『絶望と愛』という異質な感情の奔流に耐えられず、一瞬で粉々に砕け散った。
城の入り口は、彼らのために開かれた。
しかし、詠美は、結界が破れたことなどどうでもよかった。
彼女の瞳は、『裏切り者』として立ち尽くすライエルだけを捉えていた。
「騎士……嘘だ、って言って……!」
詠美は、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、懇願した。




