第十四章②
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レオンハルトは、魔術で魔王城の結界の組成を解析しながら、顔色を変えた。
「騎士くん、これは厄介だ。城の結界は、『怨念や悪意』を吸収して強化されている。僕の『美しい炎』や『氷の魔術』で破壊しようとすれば、逆に結界を強める可能性がある」
「では、どうすればいい?」
ライエルが尋ねる。
「……唯一、結界を弱体化させる可能性があるのは、『極めて純粋な光の魔力』か、あるいは、『魔王城の魔力とは全く無関係な、異質な力』だ」
全員の視線が、ミリー、そして詠美に向けられた。
ミリーはクッキーをかじり、淡々と言う。
「私の治癒魔法は光の魔力だけど、こんな大きな城相手じゃ、お茶の時間が終わっちゃうわ」
そして、視線は、「素の感情をぶつけることで最強の力を発動する」詠美に集まった。
ライエルは、静かに剣の柄を握りしめ、詠美に向き直った。
(まただ。詠美の力が必要だ。だが、この場で彼女の『素の感情(恋心)』を引き出すのは……)
詠美は、ライエルの真剣な眼差しから、彼の意図を『究極の恋愛駆け引きのサイン』だと誤解した。
(くっ……!騎士め!この『魔王城の眼前』という、究極のロマンチックな場所で、また私に『愛の告白(という名の、素の感情の要求)』を仕掛けるつもりか!王として、この屈辱に耐えなければならない!)
詠美は、ライエルへの羞恥心と闘いながら、必死に『王の仮面』を維持しようとした。
「フン!騎士よ!貴様がそんな『甘い瞳』で私を見つめても、このロードの『愛の防御力』は鉄壁だ!さあ、『王の魔力』で結界を破るための『最も痛々しい詠唱』を述べよ!」
詠美は、「自分から厨二病をエスカレートさせる」ことで、ライエルからの『素の感情要求』を回避しようとした。




