第十章②
2
「やれやれ。私の魔術は、ちょっとやそっとの力で破れるようには作ってないわ」
ミリーは飽きれたように言う。
「チッ、ゼルガディスが不甲斐ない!ならば、この『予備の眷属』の出番だ!」
レオンハルトは深紅のローブを翻し、優雅な詠唱と共に、結界の構造を解析するための『光の魔術』放つ。
「この結界は……内部から、『詠唱者の最も強い感情』を読み取って、それに合わせた『物理法則』を適用している!つまり、『蓋を開けたい』という単なる意思では開かない!」
「では、どうすれば?」
ライエルが尋ねる。
レオンハルトは顔に汗を滲ませながら叫んだ。
「『鍵』が必要だ!この結界を張ったミリーの『最も強かった感情』を再現できる、『感情の波動』が!」
ミリーは首を傾げた。
「五十年前の私の『最も強かった感情』?……クッキーの焼き加減が完璧だった時の『究極の喜び』かしら?それとも、変な魔術書を読んでしまった時の『絶望』?」
「そんな抽象的なものは再現できない!」
レオンハルトは呻く。
その時、結界の内部から、巨大な影が浮かび上がった。
それは、結界が外部からの魔力に反応して生み出した、「結界の防衛機構」。
光と闇の魔力が混ざり合った、巨大なガーディアンだった。
「ガーディアンが顕現した!全員、戦闘だ!」
ライエルは即座に剣を抜き、防御姿勢に入る。




