第八章 命名権を巡る終焉の痛々しい会議
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『巨獣の森』を出た一行は、ライエルが持つ信頼できる公式地図に基づき、次の大きな街を目指して街道を進んでいた。
先頭を行くのは、「究極のモフモフ」の背中に乗り、『真の王の姿』を体現した黒崎詠美。
彼女の足元には、相変わらずロープで繋がれたゼルガディスが、虚ろな目でついてきている。
「フフフ……!見ろ、騎士!この『モフモフの神獣』!これこそが、私の『不治の病』を癒す『究極の特効薬』なのだ!そして、このモフモフに相応しい『真名』を与えることが、今の私の『最重要任務』である!」
詠美は、モフモフの背中の感触にうっとりしながら、高らかに宣言した。
モフモフは、詠美の重さを全く感じていない様子で、時折、大きなあくびをする。
「さて、始まるぞ、騎士よ!このモフモフの『命名権』を巡る、『終焉の王と盟主の真剣会議』を!」
ライエルは、詠美とゼルガディスを完全に無視し、ミリーに話しかけた。
「ミリー殿。この神獣の名前は、元々何だったのでしょうか」
ミリーはクッキーを半分かじりながら、あっさり答えた。
「ああ。あれ?昔はただの『ポチ』って呼ばれていたわ。でも、ゼルが勝手に『終焉の番犬』とか呼んでたわね」
ライエルはため息をついた。「ポチ」という極めて平和な名前を、詠美に聞かせないよう心に誓った。




