第七章②
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詠美は、目の前に現れた青年の『厨二病としての完璧さ』に、激しい嫉妬を覚えた。
「な、何だと!?貴様、『終焉の王』である私に、『偽りの王』だと申すか!無礼千万!」
「フフフ……貴様の『漆黒の戦闘服』はどこだ?その『生成りの布きれ』では、『終焉の王』の名が泣くぞ!貴様は、私、『盟主』の敵ではない!」
ゼルガディスは、詠美の服装を完璧に指摘し、詠美の最大のコンプレックスを抉った。
詠美は、怒りで震えながら、木の枝の剣を突きつけた。
「チッ……!よかろう!『偽りの盟主』め!その『モフモフの神獣』を、この『真の王』に献上しろ!」
「問答無用!この『神獣』は、『盟主』の『魂の依代』!欲しくば、私を打ち破れ!魔術や武器の使用は、『低俗』なり!我々は、『魂の領域』で決着をつける!」
ゼルガディスはそう言い放ち、厨二病の最終奥義を提案した。
「受けて立つ!貴様を『盟主』ではなく、『敗北者の盟友』にしてやる!」
詠美は、その対決に、思わず目を輝かせた。
ライエルは、剣を収め、レオンハルトと顔を見合わせた。
「……どうやら、俺たちの出る幕はなさそうだ」
「まったくだ。『魂の領域の戦い』なんて、最も非暴力的で平和な戦いだろう?」レオンハルトは優雅に笑った。
「よかろう。『終焉の厨二病対決』、ルールは一つ!『相手の心を折る、最も痛々しい言動』を見せる!判定は、『師』であるミリー殿が行う!」
ミリーは、クッキーをかじりながら、腕を組んだ。
「勝負。どうぞ、始めなさい」
先攻:ゼルガディス
ゼルガディスは、右腕に巻かれた包帯を解き、黒い血が滲んでいるように見せつけた。
「聴け!『偽りの王』よ!我が右腕には、『神と契約した際の古傷』が疼く!この傷は、『全能の力』を封じるための代償!その苦痛が、私を『終焉の盟主』たらしめる!」
ゼルガディスは、激しく体を引き裂くようなポーズを取り、苦悶の表情を浮かべた。
「な……ッ!」詠美は、その演技のリアルさに、一瞬怯んだ。
後攻:黒崎詠美
詠美は、ライエルをちらりと見て、『不治の病』のアピールを加えることを決意した。
「フン。貴様の『古傷』など、このロードの『不治の病』に比べれば、『ただの軽い切り傷』にすぎん!我が胸の『疼き』は、『騎士の忠誠心』が、私を求める『魔力の反動』!この『王の病』こそが、『永遠の孤独』を体現する、『真の終焉』の証だ!」
詠美は、自らの胸を抑え、ライエルへの恋心を厨二病設定に昇華した。
ライエルは顔を逸らし、レオンハルトは拍手喝采を送った。
先攻:ゼルガディス
ゼルガディスは、詠美の『王の病』のネーミングセンスに動揺しながらも、最終奥義を繰り出す。
「くっ……ならばこれだ!我が師は、私に『真の王の座』を委ねた!私は師の『代行者』!そして、この鎖は『師への絶対の愛と、叶わぬ夢』を封じるための『永遠の契約』!師匠のロリ姿に恋焦がれる、この切ない孤独こそが、『真の終焉』だ!」
ゼルガディスは、ミリーを見つめながら、目元に涙を浮かべた。
後攻:黒崎詠美(勝利の決定打)
詠美は、ゼルガディスの「師匠への叶わぬ恋」という設定に、対抗できないことを悟った。
しかし、彼女には、現役の女子高生としての『究極のリアリティ』があった。
詠美は、右手に持った木の枝を捨て、スマホ(充電切れ)を取り出した。
「フン。貴様の『叶わぬ恋』など、『偽りの孤独』にすぎん!私は、『終焉の王』として、『この世界から切り離された絶対の孤独』を背負っている!」
彼女は、静かにスマホの画面を見つめた。
「『Wi-Fi』がない。『充電器』もない。そして……『フォロワー』が誰も見ていない!この、『誰にも承認されない孤独』こそが、『究極の終焉』なのだ!」
詠美は、スマホを抱きしめ、「自分の存在が、誰にも認知されていない」という現代的な孤独を、激しい感情で表現した。
ゼルガディスは、その『承認欲求とテクノロジーの融合した孤独』の前に、崩れ落ちた。
「な……ッ!『フォロワー』……!それは……それは、私の『魔術の領域外』だ!……敗北だ……!」




