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俺は罪人(つみびと)だ

 星研究所内の食堂にて遅めの昼食をとっている星に歩み寄ってきたのは、豪太らの身の回りの世話をしている大崎牧子である。


「博士、少しよろしいでしょうか?」

「どうぞ」


 牧子は一礼して星の斜め前に着席した。


「豪太達をどうするつもりですか?」

「どうするとは?」

「ガルファー団を壊滅させたあとの事です。彼等をずっと面倒見ていくんですか?」

「貴方が心配する事ではない。大毅に入れ込みすぎじゃないのか?」


 牧子は水とおしぼりを運んできた従業員に「コーヒーひとつ」と告げた。


「大ちゃんの淹れたコーヒー、飲んだことあります?」

「彼等は俺を嫌っているからな」

「フェーマエレメントに耐えられるのが彼等しかいない。平塚さんの二の舞いは避けたいと言うわけですか?」


 牧子は運ばれてきたコーヒーを口にした。


「平塚栄市、君の婚約者だったな」

「貴方の被験者でもありました。私にとって貴方は婚約者の仇です」


 星は食事を続けた。


「そんな貴方に雇われなければ生きていけない。平塚さんと共に私も死んだのです」

「それなりの報酬は与えている」

「二十年前、大学で作業環境対策としてフェーマニウムと言う新種の金属を発見した貴方や残間さんは、平塚さんにフェーマテクターを装着させて」


 星は白飯のおかわりを従業員に要求した。


「大ちゃんが淹れるコーヒー、平塚さんが淹れるコーヒーと同じ奥深さを感じるんです」

「俺もあいつの淹れるコーヒーが好きだった」


 星は白飯のおかわりを受け取り、たくあんひと切れをおかずに白飯を食べ始めた。


「俺と残間は重機の機能を兼ねた高機能作業服の開発に邁進していた。あらゆる環境で作業可能にしたかった」


 牧子はコーヒーを半分ほど飲んだ。


「平塚さんの死によって、博士はフェーマニウムから元素を抽出して可変元素とし、残間さんはロボットや人工生命体を作業用に開発した」


 星は昼食を平らげ合掌礼拝した。


「ごちそうさまでした!」

「貴方や残間さんにとっては平塚さんや大ちゃん達はモルモットでしかないんですね」

「平塚の月命日には手を合わせている」


 牧子はコーヒーを飲み干して食堂をあとにした。


「俺は罪人つみびとだ」


 星は食後のコーヒーを注文して、スマホの画面に若き日の自分や残間ら数人の研究関係者が牧子と平塚を囲んで祝福している画像を表示させた。


「平塚、俺と残間も牧子さんに惚れていた。そんな牧子さんの心を奪ったお前がうらやましかった」


 星が席を立とうした時、背後に気配を感じた。


「オッサンの若い頃の写真か? 髪の毛あったんだ?」

「真一郎、お前・・・」


 真一郎が星の背後から画像を覗き込んでいたのだ。


「まさか、オバちゃんとそんな関係があったとはな」

「お前達には関係ない!」


 星は真一郎にぶつかりながら自室に戻っていった。


「オバちゃんの若い頃、誰かに似てたな」


 真一郎はハンバーグ定食を注文した。


 

いつもご愛読いただき、ありがとうございます!


前回、爆発に巻き込まれたフェーマブルーこと真一郎が、食堂にいたのは何故か?


今エピソードは前回より以前の出来事なのです。ややこしくてすみません。


牧子の婚約者・平塚栄市はフェーマニウムで製作されたフェーマテクター装着時の負担に耐えられず生命を落とした被験者であり犠牲者、そしてフェーマスターズ第一号でもありました。


そして、牧子の若い頃の写真を見た真一郎は誰と似ていると思ったのか?


それはまた次回以降のお楽しみ、と言うことで。


では、次回も「新星戦隊フェーマスターズ」を応援しよう!

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