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シェンツァ  作者: カイト
12/13

第12話

「迎えに来ましたよ。お姫さま」

「広野?どうしてあなたがココに?もしかしてこのアラートって……」

「だいたい予想通りだろうな。すぐにここを発つ。何分で準備できる?」

「ちょっと待って、自分がしていることわかってるの!こんなことして……いえ、分かっていたとしても――」

「2年前」

俺はシェンツァの言葉をさえぎるように短く声を発する。彼女が「えっ?」と自分の言葉を止める。

「2年前。俺は命を奪うことしか知らなかった。命を守るために引き金を引かず、ただ相手を殺すために引き金を引いた……だから、俺はお前を守るために銃を撃つ。任務とか、そんなのは関係ない」

 そこで今度は俺が身をかがめ、シェンツァの瞳をまっすぐ見つめて告げる。

「俺は、俺の意志でおまえを守る。お前がここから逃げ出したいって言うならどこまでだってお前を守り抜いてやる。後はお前の意志だ。サルヴァトーレとか関係ない。シェンツァとして、1人の人間としてどうしたいのか、教えてくれ」

 俺が告げると部屋にはアラート音だけが響いた。そして、俺の言葉を聞いてうつむいていたシェンツァが顔を上げた。


「そんなこと言うのだから……最後まで、絶対に私を守ってよ」

 

 強い意志を込めた瞳がまっすぐに俺を見据え、彼女は俺に告げた。

「ああ、任せろ。じゃあすぐに荷物を――」

「それなら出来てる」

 そういってシェンツァはベッドの下から荷物をとりだした。

「……悪いが荷物は自分でもってくれるか?」

「うん」

 そして俺たちは部屋をでる。予定ではこの先に舞台はいないはずだ。

 しかし扉の前に立ったところで向こうから人の気配がした。俺は少しだけ扉を開けて部屋の中を覗く。だが人影が見えない。

「シェンツァ、ここで待ってろ」

「嫌。ついてく」

 絶対に待たないという意志表示だった。もめる時間がもったいないのでやりたいようにさせることにした。合図してから扉を開ける。


「おせぇぞ、水樹」

 そこにいたのは隊長を除いたγ分隊のメンバーだった。全員武装こそしてるが俺を捕えにきたわけではないらしい。

「司令からの預かりもんだ」

 そう言ってラディは俺にメモリーチップと背負っていたものを渡してくる。

「これは……どういうことだ?」

「何が起きてるかはそのメモリの中に入ってる。とりあえずこの先のルートもその中だ……時間がない。早く行け」

 他の2人が扉の向こうの様子を見て俺たちに出るように促す。

「広野、行きましょう……」

「……ああ」

 メモリを腕時計に差し込み地図を表示させてから、俺はシェンツァの手を引くようにして走りだす。

「しっかりやれよ」

「おう」

 ラディの隣を走り抜けた時に言われた言葉に俺は力強く返した。


 少し走ったところで視界に人影を捉え俺はとっさに身を隠し様子をうかがった。

「椎名准尉!?」

 そこにいたのは椎名准尉だった。だが彼女は俺の姿を見るとためらうことなく引き金を引いてきた。

「広野准尉……なぜことを!」

「シェンツァを助けたいと思った!ただそれだけだ!」

 椎名少尉に俺は力強く答える。

「それならこんなテロリストのような行動する必要はない!上層部にかけあえった方が何倍も――」

「無駄よ」

 椎名准尉の言葉をシェンツァが遮る。

「上層部、それも最高の位置にいる私が無駄と思うことがかなうはずがない。だから、私のことを思ってくれた彼らの行動の方が何倍もの価値があるの!」

「……これ以上、反乱分子と行動するならあなたであっても手を出さないわけにはいきません……ですから大人しくしてください」

「その方が無駄。私には騎士様がついてるもの」

 その声と同時に俺は椎名准尉の持つ銃を撃つ。

 銃を弾き飛ばされた椎名准尉がナイフを抜くと俺に向かって斬りかかってくる。

 俺はすぐに銃を捨て背負っていたケースからパイルバンカーを取り出し腕に取り付けた。

 椎名准尉が踏み込んでくるのに合わせパイルバンカーを楯のようにしてナイフを防ぐ。

「パイルバンカー……やはり、あなたは“アノ”広野水樹なんですね」

「……違う」

 椎名准尉のナイフをさばきながら俺は呟く。左手にもった拳銃で狙うが椎名少尉の細かい動きで照準が定まらない。

 銃を投げ捨てベルトからナイフを抜き椎名少尉のナイフを避けつつ右手のバンカーと左手のナイフで攻め込む。

 そしてわずかな隙を見つけて俺は杭を取り外した。

「俺は……あの時とは……」

「っ!」

 乱暴に腕を振るって距離をとる。そこで俺は右足と右腕を引く。

 今度は踏み込んできた椎名准尉のナイフを避けることなく俺は右腕を前に突き出す。そして――

「違うんだ!!」

 ナイフにパイルバンカーを殴りつけるようにぶつけそのまま椎名准尉の体にパイルバンカーが触れた瞬間、俺は手元のトリガーを引いた。

 杭こそ装着されていないが打ち出す際の衝撃が走る。その衝撃を直に受けた椎名准尉は声を発することもなく気を失いその場に倒れた。


「悪いな少尉……こんなところで……止まるわけにはいかないんだ」

 ナイフを拾いながら俺は気を失っている椎名少尉にそう話しかけた。

12話が終わりました。カイトです


次回最終回です。ひゃっはー!

なのは無印、A'sと同じ話数構成です、ひゃっはー!

……はい、すみません


なんだかんだで無事に第一部は終わりそうでなによりです

次回は6日か7日どっちかだと思います

最終話以降、つまり第二部関係はブログの方にて報告する可能性もありますが今月中頃から連載開始だと思っていてください

ブログのアドレスです↓

http://kaito721.blog122.fc2.com/

こっちのほうもよろしくおねがいします


最後の最後。しっかりとまとめられればと思います

ユーザー登録してない方はブログの方に感想送ってくださってもおkです

では、ここまで読んでくださった皆さんに感謝を

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