第10話
俺がこの基地に転属になってから2週間が経った。
警備、演習ともに仲間に頼りにされ、力の価値も変わってきた。昔のように奪う力でなく、確かに俺の力は誰かを守るための力になっている。これは、俺が望んだ最高の状態のはずだ。
「なのに……なにも変わってない」
2週間前のシェンツァが言ったこと。そして、相良中佐達のあの――
「水樹、いるか?」
ラディの声と同時に扉がノックされる。俺は適当に返事をした。
「お呼び出しだ。中佐殿がここに書いてあるものを持って今すぐに司令室に来いだとよ」
「相良中佐が?」
「おう。じゃ、俺は確かに伝えたぞ」
そう言ってラディは茶封筒をおいて部屋を出て行った。俺は茶封筒から紙を取り出し、その中を見て驚いた。
そして、覚悟を決めた。
「失礼します」
準備をしてから俺はすぐに司令室に向かった。
「遅かったな、准尉。もう少し早いと思ったのだがな」
「こんなものですよ。で、これの準備をさせたってことは……」
「待て、まずは確認だ」
俺はすぐに背負った荷物を床に広げる。
出てきたものはパイルバンカーと呼ばれる武器だ。突撃兵装として利用されており対人よりも装甲車や防御壁の破壊に用いる。
「さすが、手入れはしっかりほどこしてあるな。規格は以前のままか?」
「以前よりも改良してあって2つ上ぐらいまでなら打ち出せますよ」
本来ならパイルバンカーに装着される杭は一定の大きさなのだが炸裂系兵器に制限がかかっているご時世、用途に分けて杭も数種類作られている。パイルバンカーの性質上規格外のものを打ち出そうとする高確率で暴発。大ケガでは済まない。だから今、ここにあるような口径を変更できるバンカーは構造上珍しいのだ。
「余計なことをしたな……まあいい。コイツは俺が預かっておく。准尉、次の非番はいつだ?」
「明日。実際はこの後の演習さえこなせば休みですけどね」
「なら明日、13時に司令室に来い。部隊の奴らには気づかれるなよ」
「了解。他には?」
「特にはない……いや、ひとついいか」
相良中佐がパイルバンカーを片付ける手を止めてコチラを見てくる。
「この件にお前がこれ以上かかわる必要はない。確かにバンカーを個人所有してるのはお前ぐらいだ。それも上層部は知らない。この作戦においてこれは有効だが……お前は本当に後悔しないんだな」
俺は少しだけ黙った。
もともと俺は無関係。偶然起きたことからここまで関わってきたのだ。相良中佐が懸念するのも分かる。だからこそ、自分の思いを伝えなければならない。
「俺はこの1年で少しは変われたと思ってました。ですが、彼女の話をきいて、何もできないなんて何も変わってないのと同じなんです。いえ、これならまだ自分を信じて動けた2年前の時の方がましです」
そこで一瞬だけ言葉が止まった。俺は当然だが中佐もあの時のことは知ってる。だからこそ一瞬だけ沈黙が訪れてしまった。だが俺はすぐに次の言葉を続ける。
「……変わるんです。あの時とは逆の考えで、同じことをしないといけないんです。そして、それ以上に俺は……彼女を助けたいんです!」
黙って話を聞いていた相良中佐が小さく頷いた。そして片付けを再開する。
「期待しているぞ。水樹」
「……ああ」
なんか今回自分で書いていても面白くな――なんでもないです。
どうも、カイトです。
下痢はつらいです。
まじでキツイです。
みんな、気をつけようね。
さて、今回は面白くないです。きっと。
だってどう見ても場つなぎ。省いていいレベルですよ。
・・・体調不良が原因と言い訳しておきます。
この第1部も残すところ3話(予定)
予定では3月5日ごろに完結予定(もう少し早まるかも)
第2部は3月14日ぐらいを予定しています
ではでは、また次回
ここまで読んでくださった皆さんに感謝を