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1-5

少年は何事もなかったかのように立ち上がり外に出ようとする。

それに頭にきた大西は少年の腹に拳を入れる。

それでも少年はいっさいの声を出さない。

それどころか落ちついてるようにも見える。

ドタバタしてるのは大西のほうだ。

存在を無視されてることに怒り心頭らしい。

年も若いというのもあって自分をおさえられない。

これが安田や細川だったら例え無視されようが何の得にもならない暴力などの行使はしない。


それからの大西は殴る、殴る、殴る。

少年が倒れたのを蹴る、蹴る、足蹴にする。


「おい、そこらでもう止めとけや。

それ以上やって死んだらどうする?

止めろって」


細川が慌てて静止に入る。

最後は怒鳴り声になった。

この時点でももうマズい。

止めに入るのが遅れた。

このままでもこのガキが家に帰れば家族に暴力沙汰がバレてしまう。

警察に通報されたり病院に行かれてもマズい。

ここまでだ。

力ずくでも大西を止めなければならない。

暴力事件、ましてや殺人事件なんてまっぴらゴメンだ。


細川は大西を押し退けて倒れている少年の前に片膝をついた。

顔から体をザッと調べてみた。

顔は腫れが見てとれる。

体は痣ができただろうがなんとか誤魔化せるレベルか?

肌を見せなければオーケーか?


「これはな、おまえも悪いんだ。

ぶつかって謝りもせず逃げたからこうなった。

わかるか?」


少年は痛がってる表情はあるので意識はある。

細川は極力ゆっくりと諭すように少年に言い聞かせた。

はたしてそれを理解できているのかはわからない。

それだけを伝えて立ち上がった。

行くぞと2人を促して真夏の太陽の下に出た。

「どうもすいませんでした。

やりすぎました」と謝罪する大西に対して「おう、気をつけろよ」とだけ注意はしておいた。

駅に向かいながらチラッと大西を盗み見た。

こいつは適当なところで切ったほうがいいかもしれん。

いずれ足を引っ張られることになるかもしれんと危惧はしている。

その前に切り捨てるべきかもしれない。


少年は動けないでいる。

腹を蹴られて痛いので少々汚れている床の上でぐったりしている。

もだえ苦しむほどではない。

そして風もない建物の中、真夏の暑さがこたえる。

温度としては40度を越えてるかもしれない。

歩けるようになるまでには汗びっしょりだ。

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