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この世界では鬼が嗤う−桃太郎rebirth  作者: 弁財天睦月
「目覚め」

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1-4

駅からさほど遠くない建物に少年を連れ込んだ。

住居用のマンションではないと思う。

外にテナント募集と書かれているのでオフィス利用目的の建物だろう。

そのわりには3階建てと小さいが入居してるような雰囲気がないので好都合だ。


1階入口に入った。

すぐ前に階段がある。

その階段の横に1階の部屋に入るためのフロアがある。

ここでいい。

外からは見えにくい場所。

さっそく大西が動いた。


「おい、おまえさぁ、体当たりしてきたよな。

おまけに足まで蹴ったよな。

それで知らん顔で逃げるってのはないだろうよ。

謝りもせずにな」


もう好戦的な口調だ。

相手が相手だけに絶対的優位な立場にいるのは大西怜王馬だ。

細川はそういえばと大西の経歴をぼんやりと思い出した。

神奈川県出身で中学生の頃にはいっぱしのワル気取り。

学校へは行ったり行かなかったり。

当然、成績なんて評価できるわけがない。

中学を卒業(厄介払いのため追い出されて)してからは適当にブラブラ。

収入はワルさをして非合法のもの。

そして流れついたのが詐欺組織ファントム。

大西だけじゃなくて他のメンバーもだいたい似たりよったりの連中だ。

どうせまともに働こうなんて気はサラサラないヤツらばかりだ。


恫喝ともとれる大西の激しい口調にまったく動じることもないように少年は外に向かって歩きだした。

なんの抵抗もせずにここまでノコノコやってきたのも不思議だったが、ここにきて急に逃げる行動も妙だった。

逃げるといっても慌てた様子もない。

大西の言葉なんか完全無視してただ普通に帰っていくといった素振りだ。


これには大西がブチッと音が聞こえるほどキレた。

「ゴラアァァァ」と叫んで少年の肩に手をかけ正面に回った。

すかさず右のストレートが少年の顔をとらえた。

少年は後ろに向かって弾き飛ばされた。

体重も軽かったからだろう。


「おい、顔は止めとけよ。

後で面倒なことになる」


安田からの注意。

だが止めようとはしない。

細川は冷静に見ていた。

妙なガキだ。

唸り声ひとつ上げない。

顔には殴られた跡がはっきりとある。

それでも怯えがない。

本当に頭がおかしいのか?

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