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この世界では鬼が嗤う−桃太郎rebirth  作者: 弁財天睦月
「目覚め」

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21/156

3-9

良たちはやっと井の頭通りまで出た。

井の頭公園に入るための石の階段から井の頭通りまでの200メートルを10分以上もかけてようやくだ。

歩く振動で胸が痛む涼華のために立ち止まったりを何度も何度も繰り返していたからだ。

肩を貸している良も汗びっしょりになっている。

2人のバッグなどの荷物は美久が持っている。

この通りに出ると人の姿がある。

おばさんなんかは、あらまぁといった顔をされるんだがこの暑さの中、熱中症だと思われてるのかもしれない。


吉祥寺マルイ前あたりでさほど待つこともなくタクシーに乗ることができた。

涼華と一緒に乗り込んだのは良と美久だ。

成田たち3人とはここで別れることになった。


タクシーが視界からなくなるまで成田たちはその場から動かなかった。

金本も鶴田にも共通していることだが頭がボヤ〜っとした感じになっている。

それは時間が経つほどに記憶にも靄がかかってきてるようだ。

自覚はないが何者かの力で記憶がリセットされてきてるようだ。


タクシーは井の頭通りをただまっすぐ進むだけでよかった。

東京都水道局の境浄水場の手前にある久保公園という場所で降りた。

本当に直線で進むだけの3•7キロほどの距離を14分くらいで着いた。

タクシー料金の千円ちょっとは良が払った。

美久も少しは払うと言ったんだが良はそれを断っている。

そういえば美久は思い出したことがある。

良の実家って桜井耳鼻咽喉科クリニックだ。

開業医で繁盛してるからお金持ちだ。

では、ここはおまかせにするとして荷物は運ぶことにする。


ローソンが見える場所からエッチラエッチラと汗水流して15分ほど。

やっと着いた酒井家。

表札が酒井。


「本当にここ?」


美久が疑問に思うのも当然だ。

名字が違う。

美久は涼華の家庭状況を知らなかった。

良は少しだけ事情は知っていた。

それに同窓会のカードを郵送したのも良だったので知ってて当然だ。


美久がインターフォンを押すと女性の声。

涼華が戻ったことを伝えた。

ちょっと待ってるとドアが開いた。

あらかじめの涼華との打ち合わせ通りに軽い熱中症だと伝える。

病院に行くよりもとにかく横になりたいことも追加。


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