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この世界では鬼が嗤う−桃太郎rebirth  作者: 弁財天睦月
「目覚め」

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2-1

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朝。

7時前だというのにすでに真夏の暑さが容赦ない。

涼華は目が覚めている。

暑さのためでもあり、昨夜早くから横になっていたためでもあった。

寝て起きたら健康そのもの。

昨日の顔の傷や腹などの痛みはすっかり失くなっている。

こういった現象は今に始まったことではない。

この酒井家で暮らすようになって神奈川県から東京都武蔵野市の小学校に転校した。

いつからだかはっきりしないが小学生の頃からいじめは始まっていた。

それでもまだかわいいものだった。

中学生になると本格的ないじめが始まった。


不思議なことがある。

どんなにいじめで怪我をさせられても翌日には完全に治っている。

さらに不思議なことは、周囲にいるすべての者たちが涼華の怪我のことなど覚えてないということだ。

記憶がリセットされたかのように昨日のことは何事もなかったといったことになっている。

誰もそのことには気づいてさえないので騒ぎになることはない。

北見沢涼華の立場が不利になったり怪しまれたりしないように調整でもされているかのようでもある。

目に見えない何かの力が働いている?


家の中には涼華しかいない。

酒井家の家族は広島県に行ってる。

涼華にとって叔父にあたる酒井勇輝の親族に不幸があったとかで涼華だけを置いて広島県での葬儀などに参列している。

涼華にとっては血の繋がりもないので連れて行く必要はないと判断された。


母親の妹で涼華にとっては叔母にあたる酒井歌澄は北見沢涼華を引き取ることには当初は渋い顔をしていた。

いくら姉の子供、甥であっても面倒は見きれないと思っていた。

自分たち家族の生活で手いっぱいだ。

かわいそうではあるが他に引き取り手がなければ養護施設の専門家の手に委ねたほうが涼華のためにも良いことなのではと。

自分に対して勝手な責任を押しつけられても非常に困るというのが本音でもあった。


しかしその考えも変わってしまう出来事があった。

長沢隆臣ながさわりゅうしんという弁護士が自宅に訪ねてきた。

スタッフらしき人が2人も同席している。

1人は車の運転手か?


それで、わざわざ長沢弁護士が訪ねてきたのは北見沢涼華に対しての養育費の支払いに関することだった。


そうだ、それもあった。

歌澄が涼華を引き取るのに二の足を踏んでいる理由。

金の問題もある。

涼華の父親である北見沢比呂樹きたみざわひろきが亡くなったのは33歳。

その年齢ではそれほどの財産があるとは思えない。

住んでいたのも賃貸マンションだった。

毎月50万円の養育費が支払われるそうだ。

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