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7話

「本当にすいません。こいつもいつもはもう少しまともなんです」


「そんなに気にするなって。俺ももう気にしてないって言っただろ。これ以上謝る必要はないからな」


「ありがとうございます。これから町へ戻るんで一緒に行きましょう」


 これで町へいけるぞ。

 このままずっと森で足止めをくらうんじゃないかって無駄に心配してたんだからな。これ以上時間を使わされずにすんで良かったぜ。


 森の中でも、地図さえあれば迷わずにいけるって言うのはこいつらもそれなりにこの森になれてる証拠だよな。安心してついていけそうだな。これで迷ったりしたら絶対に許さないからな。期待させといて落とすのは人としてやっちゃいけない行為だからな。それだけは俺も見過ごすことができない。例えわざと迷ったわけじゃないとしてもそれ相応の報いを受けさせないといけなくなっちまうな。特に何をしてやろうかとかは考えてないし、そこまで心配してるわけでもないんだけどな。


「でも、これだけゴブリンを倒したってことは私たちの報酬も結構期待できるんじゃない? やっぱり冒険者は危険と対価が見合ってないとやってられないわね」


「私たちが倒したわけじゃないんだけどそれは大丈夫なのかなぁ? ずるしたことにならない?」


「そうだぞ。ポポの言う通りだ。俺たちが倒したわけじゃないゴブリンの報酬をもらうなんて無様な真似するつもりか。俺にはそんな真似できないぞ。それに報酬は俺たちのものじゃないだろ」


「何よ。私だってわかってるわよ。でも、それぐらい貰ってもいいじゃない。命を落としそうな目にあったのよ」


「俺なら気にしないから好きにしてもらっていいぞ。報酬が貰えるんだったら折角だし貰っておいたほうがいいんじゃないか?」


 確かにモンスターを倒したのは俺だが、三人がそれでも報酬を貰えるって言うんだったら俺として別にどうこう言うつもりはない。俺からしてみればとても些細なことだからな。それに、考えない俺にとってみればその金をなんとか俺が貰おうなんてことも考えようとは思わないし、するつもりもない。無駄にカロリーを浪費するだけの無駄な行為だ。


「ありがとう。あんたいいところあるじゃない。ほら、これで何も問題はないでしょ。報酬を貰って少しでも生活の足しにしましょう。ただでさえお金に困ってるんだから、こんな機会を逃すわけにはいかないわ」


「そうだね。それだったら、私も異存はないかなぁ。ありがとうございます」


 女の子から感謝されて悪い気はしないな。二人とも俺に感謝している。これだけでも、モンスターに襲われているところを助けた甲斐があったというもんだ。それに、報酬まで受け渡しちまうなんて我ながらとんでもねぇ聖人だな俺は。そりゃ感謝されないとおかしいだろ。


「何から何まで本当にありがとうございます。俺もいつかあなたみたいな強さと器の大きさを手に入れて見せます。何も考えないって言うのは俺には無理かもしれませんが、それ以外にもきっと方法はあると信じてます。俺たちの成長を見守っていてください」


「それは無理だ。俺はそこまで暇じゃないからな。自分の生活費も稼がないといけないし、モンスターも討伐していかなくちゃいけないからな。まぁ、俺が冒険者になって出くわしたときなんかは強くなったか見てやるさ」


「ありがとうございます。俺、絶対に強くなって見せますから。なぁ、二人とも。俺たちで絶対にSランク冒険者になろうぜ」


「Sランク冒険者なんて、人間やめないとなれないわよ。ドラゴンを討伐したりするような化け物ぞろいよ。私たちなんて危険度最低のゴブリンに殺されかけてるんだから。もう少し、現実を見なさいよ」


「ペペちゃん、ゴゴだってそれくらいわかってるよ。でも、私たちは強くならなくちゃいけないんだよ。だから、三人で頑張ろう?」


「ポポまで……しょうがないわね。私がいなくちゃSランク冒険者なんてなれるわけないでしょ。こうなったら、私が全力でサポートしてあげるわ。どんどん強くなるわよ」


 何やら俺をのけ者にして盛り上がり始めている。

 そのSランク冒険者がどれくらいの強さを持っているのかとかはわからないが、化け物だって言うくらいだしとんでもない強さなんだろうな。今の俺とどっちが強いんだろうか。流石に魔王を討伐できるほどの力を持っている俺とこの世界の人間だったら俺のほうが強くないとおかしいよな。全力じゃなかったら負けるかもしれないが、何も考えてない時の俺は無敵だろうな。絶対に誰にも負けないだろうっていう万能感がものすごかったし、これ以上強い奴なんて世界に一人もいないだろう。


「待たせてしまってすいません。それじゃあ、行きましょうか。こっちに進めば、町へ着きますから」


「ゴゴ地図をちゃんと見ながら進みなさいよ。道に迷ったりしたら申し訳が立たないんだからね」


「それくらいわかってるさ。俺だって、この森に何回来たと思ってるんだよ。迷うわけないだろ」


 これが盛大なフリじゃないって信じよう。

 このまま気が付いたら道に迷ってたりとか流石にないよな。すぐに町が見えてくるんだよな。

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