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5話

「っせい!!」


 飛び出した勢いのままモンスターを殴り飛ばした。

 この間、レイコンマ何秒の世界でありモンスターはピクリとも反応できていない。もちろん、人間たちも同様に俺がモンスターを殴っていることには気が付いていないだろうな。

 自分自身でも、意味わからないくらいのスピードが出ていてわけがわからなんもんな。何も考えていないときの俺はこれほどまでに強烈なのかと実感しているところだ。


 ドゴォォン!!


 モンスターは後方へ吹き飛び、何度も木にぶつかりながらも止まることはなくそのまま彼方へ消えていった。


「何だ!? 何が起きたんだ!?」


 やっと、この状況に気が付いた男が叫んでいる。


 こんな調子じゃあ、こいつ等はちょっとレベルの低いやつらなんだろうな。転生してすぐの場所だし、それほど強力なモンスターが居るとは思えないから、ここにいる人間のレベルも必然的に低いのだろうか。


 今の一撃の余波に巻き込まれる形でモンスターどもの数は半減している。殴ったのは1匹だけだって言うのに倒したのはその何倍もの数だ。ただ殴るということだけで、これほどまでの結果がついてくるなんて俺は強すぎるな。


「あんた誰だ? どうして急に現れたんだよ!?」


「ゴゴ、今のは一体?」


「ゴブリンが消し飛びましたよ」


 男はやっと俺に気が付いたようでこちらに向かって何かを言っているが、少し離れたところにいた二人はまだ俺に気が付いていない。

 すさまじい音と衝撃でモンスターが消えたんだもんな。こんな状況とはいえ、さらにパニックになるのも不思議ではないな。


「ここに気配が集まってたからな。ちょっと様子を見に来たんだよ。そしたら、何やらモンスターと戦っていたからこうして助太刀したわけだ。それ以外は特にない」


「わ、悪い。本当に助かった。しかも、あんた相当高ランクの冒険者だよな? 今の一撃なんてまったく見えなかったぜ」


「なんだ冒険者って? 俺はただこの近くを通りかかっただけだぞ。その冒険者じゃないんだが……」


「嘘だろう? 冒険者でもないのにその強さなんてもしかして、さぞかし高名な騎士なのか?」


「いや、それも違う。ただの一般人だ。ただ危なそうだったから助けたに過ぎない。それと、俺に色々質問をするのはやめてくれ。考えるつもりがないんだ」


 冒険者とか騎士とか色々なワードが出てきたが、そのどれも違うんだよなぁ。それでも、男が俺のことを強いから、そう予想しているのだとしたら今上げた存在がモンスターと戦っているって言うことなのか? よくわからんな。


「はあ……それで、申し訳ないんだが残りのゴブリンを討伐するのも手伝って貰えないか? 正直俺たちの手に余ってて……」


「そのためにこうして飛び出してきたんだ。頼まれなくてやるつもりだ。巻き込まれないように下がってろ」


「はい!! ペペ!! ポポ!! 俺たちは下がるぞ」


 男は俺の指示通り、女二人を連れて後方へ下がった。

 二人のほうはまったく状況が理解できていな様子だったが、男が無理やり引っ張る形で下がらせていたので、もう巻き込む心配はないな。これで、気兼ねなくこいつらの相手ができるってことだ。まぁ、巻き込むとかそんなことも考えたくないんだけどな。


「ギギァァァ!!!!」


 モンスターの1匹が叫び声を上げ、俺のほうへ向かってくる。

 右手にはこん棒のようなものが握られており、振り上げているところをみるともしかして、あいつで俺のことを攻撃するつもりなのかもしれない。以前までの俺だったらあんなものを喰らったら意識を飛ばしてしまっていただろうが、今の俺にはモンスターが走ってきているのすら止まっているように見える。

 何が起きようと、あんな遅い攻撃を食らうことはないだろうな。


「っせい!! そりゃっ!!」


 今度はモンスターに高速の2連撃をお見舞いしてやった。

 俺の攻撃で吹き飛んでしまう前に、追撃を加える。これも、とてつもないスピードで動ける今の俺だからなせる技だ。明らかにオーバーキルなのはわかっているが、腕試し的な感覚でついやってしまった。


 ズガァァァン!!! 


 衝撃で後ろにいたモンスターどもを巻き込み、後方へと消えていった。

 ちょっと、衝撃波で木まで吹き飛ばしてしまったが、木はいずれまた生えてくるだろう。俺だって悪気があって自然破壊をしたつもりはないんだ。ただ、そんなこと考えてもいなかっただけなんだ。


「すっげぇ!! おい、今の見たか? いや、見えなかったけどさ。一瞬でゴブリンどもが消し飛んじまったぞ。いつか俺も今みたいな攻撃ができるようになりてぇ」


「無理でしょ。目を離さないで見てたつもりだったけど、何も見えなかったわよ。あれが人の出せる速さなの?」


「そんなことよりもこれで私たちは助かりましたよ。ありがとうございます」


 三人は俺のほうへ向かって思い思いのセリフを呟いている。

 俺としてはここまでわざわざ来た目的の町の方角を教えてもらえればこれくらいのことは朝飯前だ。

 とりあえず、町がどこにあるのかとついて行ってもいいか聞いてみようかな。


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