ビキラ外伝「笑う結婚式」の巻
名うての結婚式場荒らしを捕えるべく、一計を案じた街の岡っ引きギルドは、魔人ビキラが野宿している雑木林へ押しかけた。
蛮勇で知られる賞金稼ぎビキラに、囮役になってもらうためである。
ブルーシートの仮の宿で、魔人少女に頭を下げる岡っ引きたち。
「えっ? あたしが結婚式で新婦役を?」
「はい、犯人を逃したくないので、是非とも実力者のあなたに新婦役をして頂きたく、カブカ市岡っ引きギルドよりまかり越しました」
「あたしが結婚式なんて、真似事でもないから」
と笑い出すビキラと肩の上の古書ピミウォ。
「新郎役はこの方に」
と、うやうやしく写真を見せる岡っ引き。
「昨日、凶悪犯を苦もなく捕らえた豪傑です」
「お二人に新郎新婦を演じてもらえば、もう千人力!」
その新郎役は、素浪人ププンハンだった。
「あたしが、ププンハンと結婚?!」
腹をかかえて笑い出すビキラ。
「これ、ププンハン殿に失礼だぞ」
笑いながらたしなめるピミウォ。
すっかりツボにハマってしまったビキラは、機嫌良く偽装結婚を承知した。
「申し訳ありません、ビキラさん」
打ち合わせ室で、神妙に頭を下げるププンハン。
「見当は付いたよね、ププンハン」
と笑いながらビキラ。
「はあ、十中八九、彼奴で間違いないかと」
二人の会話を聞いて驚く岡っ引きたち。
「さすがは、名うての賞金稼ぎ!」
「えっ? あの、どこの親族にも居そうなオヤジが式場荒らしだって?!」
「あの人が親族でなければ、誰が親族だと言うのだ?!」 と錯乱気味なことを言い出す者までいた。
その、どこにも居そうな結婚式場荒らしを捕らえたのはビキラであったが、
「笑っちゃうわよねえ、こんな結婚式。あんた、なんで来たの?」
と、組み伏せた悪人に笑いかけ、相手を戸惑わせたのだった。
(ん滑稽な結婚)
ん。こっけいな、けっこん!
明日、土曜日(1月20日。イオン5%引きの日)は、朝の7時前後に、
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よかったら、覗いてみて下さい。
ほなまた、明日「続・のほほん」で。




