ビキラ外伝「横丁の怪談会」
魔人ビキラと古書ピミウォは、横丁の怪談会に参加した。
談じるのではなく、もちろん聞く方だ。
「子供会協賛」と言うだけあって、聴衆には子供たちが多かった。ビキラたちは、
「枯れ木も山のにぎわいと申します」
と言われ、席埋めに参加したのだった。
怪談家は、一人怖い顔になって熱演していた。
「うっ。臭い。誰か屁を放いたやろ?
いや、知らん知らん。
証拠はあるんか? 誰か嗅いだんか?
ええ、怪談家と、嗅いだんか、が掛けてありまして」
場内、静まりかえっているので、自分からネタをばらす怪談家。
「草原も油断できませんよ、皆さん。
『草、刈ったら、臭かった!』」
大学も大変です。
『大学祭の台が臭い』」
「匂いフェチなの? あの人」
ビキラにマジでつぶやかれ、落ち込む怪談家。
しかし、そんな場合ではない。
場内は静まりかえっている。
ここは数で勝負と、さらに畳み掛ける怪談家。
「増井さんに、麻酔はまずい!」
「鎌倉のキャバクラ!」
「マッコウナメクジラ!」
「大は小を兼ねる下痢!」
「怪談家、とうとう下ネタを言い始めたぞ」
とピミウォ。
「いつ、怖くなるのかしら?」
とガチでまだ期待しているビキラ。
『蓼食う虫も、鈴木!』
「わあ、スズキくん、虫なんだ」
「違わい、違わい!」一部の子にちょっとだけウケた。
「さあさあ、怖かったら、泣きなさい。泣いた子には、駄菓子をあげよう!」
怪談家は泣きそうな顔をして言った。
「相手が子供だと思うて、駄菓子で釣りはじめたぞ、あの怪談家」
そう言って表紙をしかめる古書ピミウォの隣で、魔人ビキラはワンワン泣き始めた。
ウソ泣きでも、駄菓子はちゃんともらえた。
律儀な怪談家であった。
(怪談会寛大か)
かいだんかい、かんだいか?
(似たような回文がありましたが、気にしないでね)
日曜日に投稿予定のビキラ本編「分家騒動」の巻、が投稿が無理っぽいので、明日の土曜日(1月13日)のお昼頃に投稿することにしました。
日曜日はまた、隙を見て、「続・のほほん」の短いヤツを。
ほなまた、明日、ビキラ本編で。
「のほほん」第1部、111話にて終了。
「続・のほほん」ただいま連載中。
よかったら、覗いてみて下さい。




