ビキラ外伝「功をあせるザロピ」の巻
魔人な少女が街角でチンピラを甚振っている姿を見て、
(これは頼もしい。是非とも我が一派に加えたい) と、考える魔人ザロピ。
ザロピは軍事政権復活団において、大幹部をめざす中幹部であった。
そのために、強い手駒が欲しかったのだ。
その魔人少女が、賞金稼ぎなどではないことには、自信のあるザロピだった。
(賞金稼ぎどもは金にガメツい。チンピラを相手にするという、一文の得にもならぬことをするはずがない)
と。
(あの小娘は、暴力エネルギーを持て余したならず者だ)
そして、
(この灰色の地味な作業服姿のワシを、よもや復活団中幹部とは気がつくまい)
とも考えていた。
「いや、お見事」
拍手をしながら、そのならず者、魔人ビキラに声を掛けるザロピ。
「ワシは世直しに勤しむ者。我が一党に加わって、一緒に世のために働きませんか?」
ビキラは肩に立つ古書と何やらひそひそ話をした後、
「世直し党? 面白いわね。是非、参加させて」
と答えた。
アジトへの道中、ビキラを試すザロピ。
「今の政府をどう思いますか? 軍事政権を倒して、革命政府などとウソぶいておりますが」
「ふん。あたしたち無宿者から選挙権を奪って、さらに無宿税まで取ろうとしたわ。ロクなもんじゃないわね」
その点は、本当に怒っているビキラ。
(よし、合格!)
と、ほくそ笑むザロピ。
魔人少女の言葉に偽りのないことを直感したのだ。
途中から目隠しをされ、
(奴隷商人に捕まった時も、こんな感じだったわ)
と、思い出してなつかしむビキラ。
目隠しを取られた所は、天井と壁に発光石を埋め込んだ、それなりに明るく広い部屋だった。
(窓がない。地下かしら?)
と思うビキラだったが、その判断が正しいかどうかは、分からなかった。
部屋の中には幾つかのテーブルがあり、十人近い男女の魔人が椅子に座り、食事をしていた。
(そう言えば、お昼頃かしら。さっさと片付けてお昼にしようっと)
急にお腹が減るビキラだった。
「紹介しよう。我が鉄拳正義党ザロピに新しく加わることになった風来坊のマティカさんだ」
ビキラが教えた偽名を紹介するザロピ。
「手配書でお馴染みの皆さんがお揃いで、嬉しいです」
ビキラは頭を下げた。
急いで部屋の隅に逃げる古書ピミウォ。
「本当は賞金稼ぎです。皆さん、あたしと一緒に公安署に行きましょう」
「な、なんだとっ!」
驚くザロピ。
(窓がないので、衝撃波や爆風を逃す所がない)
仕方なく、ビキラは爆発系回文攻撃はやめた。
それでも全員を倒すのに、さほど時間はかからなかった。
ピミウォもろともにブッ飛ばしたからである。
仲間に気を配っていると、時間がかかってしまう。
時間がかかると、それだけお昼ご飯が遅くなる。
(お昼が遅くなるのは、嫌だ)
そこはなんとしても、避けたかったビキラでである。
「ザ、ザロピ様、なんて奴を連れてきたんだ……」
「ああ、まだ食べられそうなお昼ご飯が食べられてゆく……」
「わたしの八宝菜がっ。後で食べようと具を残していたのに、この悪魔っ!」
「なんなんだ、この爆食乱暴小娘……」
床に倒れ、呻くザロピの部下たちだった。
(天敵と来てんて)
てんてきときてんて!!
元日早々、大変な日本でした。
オレは、阪神淡路大震災を体験したので(当時は、長男は小学一年生、長女はまだ一歳に満たず、父は病院に寝たきりと言うなかなかな状態でした)、思い出してヘコタレました。
しかし、思い直して自分の人生を歩みたい。
阪神淡路大震災以上のマグネチュードだと聞いて、大変驚きました。頭が混乱して、色々書けません。




