ビキラ外伝「めざせ爆弾大王」の巻
爆発系爆弾魔人、パッポロパが詠唱した。
「ブレーメンの爆弾音楽隊!」
具現化したロバ型爆弾、イヌ型爆弾、ネコ型爆弾、ニワトリ型爆弾が逃げる魔人ビキラを追う。
そして追いつけずにロバ、イヌ、ネコ、ニワトリが次々と爆発してゆく。
「ああもう、『どちらかが死ぬ』みたいなこういう戦いが一番嫌い!」
ビキラは爆煙に紛れて、物陰に隠れた。
勿論、ビキラに死ぬ気はなかった。
「どーした賞金稼ぎ! 吾を捕えるのではなかったか?」
三本ヅノのおたずね者、パッポロパがトレンチコートをひるがえしてせせら笑った。
「くそう。こんな時にププンハンがいたら、あの爆弾魔人と相打ちに出来たのに」
と、残念でならないビキラ。
遠く離れた街で、クシャミをする素浪人ププンハン。
「誰がが私の良い噂を」
孤独な素浪人らしい、悲しき解釈であった。
しかし、独りで生きて行くには、これくらいのご都合主義的主観が必要なのだ。
「喰らえ!」と叫んでとうとう秘密兵器を出すビキラ。
「ダイナマイト今無いだ(だいなまいと、いま、ないだ!)」
ビキラの詠唱に応じて、投網の如く拡散する火のついたダイナマイト群。
負けじと、
「三匹の子ぶたの爆弾!」
を詠唱するパッポロパ。
しかし、ダイナマイト軍団に対抗するには数が圧倒的に足りなかった。
ププンハンのように、子ぶたの数を増やす方向には発想しなかったのだ。
またしても遠くの地でクシャミをするププンハン。
「むう。誰かが考えの足りない昔話・童話妖術を使ったような気がする。未熟者め」
このように、独り者は独り言が多い。
余計なお世話だが。
パッポロパの周囲で次々と起こる連鎖爆発。
「あああああ! ダイナマイトは無いと言ったのに!」
それがパッポロパの最後の言葉だった。
「ふ。イマナイダはダイナマイト軍団の名前なのよ」
爆煙の中でつぶやく嘘つき魔人ビキラ。
「爆弾を弄ばなければ、死なずに済んだのに」
「何かを成そうということは、命掛けじゃなあ」
一件が落着して、ビキラの肩に舞い降りて来るピミウォ。
「おそらく、爆弾大王でも目ざしておったのじゃろうが、あの世でとことん悔いるがよい、パッポロパ」
爆弾魔人パッポロパが、あの世でダイナマイト氏に師事したことは、この世ではあまり知られていない。
(成していく悔いて死な)
なしていく。くいて、しな!
よいお年を。
みたいな12月30日。イオンで5%引き。
掃除が一段落して、休んでいます。
出来たら、明日も明後日も投稿するぞ!
と、個人的に舞い上がっている年末だった……




