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ビキラ外伝「徘徊する者たち」の巻
「凄い豪邸ねえ」
城のような石垣に沿って歩く魔人ビキラと古書ピミウォ。
「うむ。こんな所に盗っ人が入ろうものなら」
ピミウォがしおりヒモをひねった。
「盗品はたんまり……」
「その盗っ人を捕まえたら、褒美もたんまり。ヒッヒッヒッヒッ」
間接的に、泥棒の上前を撥ねようというビキラとピミウォであった。
「ビキラよ、そのジョウビタキのような笑い声は止めよ」
ジョウビタキとは、オレンジ色の胸をした小鳥の名だ。
「な、なによピミウォ。ヒッヒッヒッヒッ! のどこが悪いのよ」
「ジョウビタキに失礼であろう」
「うっ。分かった。止める」
「誰かが盗みに入らんかのう」
「ほんとにねえ。早く入りなさいよ、盗っ人。すぐさま捕まえてやるから。ゲヘヘヘヘへ」
ビキラとピミウォはその後も、大豪邸の周囲を徘徊し続け、近所の人々に通報された。
(読み取る富よ)
よみとるとみよ!!
本日、ふたつ目のビキラ外伝になりました。
まあ、前まで2篇まとめて投稿してたけど。
では、日曜日のお昼にまた、ビキラ本編で。




