ビキラ外伝「黄砂光点」その他
回文ショートショートショート
ビキラ外伝「黄砂光点」の巻
その日は朝から、空が淡く曇っていた。
天気予報によると、
『隣接する大陸から黄砂が飛んで来ている』
という話であった。
「あら、ぼんやりした曇り空で、なんだかチカチカ光ってるわね」
「おう、黄砂光点じゃな。上空は風が強いようじゃな」
「黄砂が交差して、光るのよね」
「おう。駄洒落妖術師でもないのに、駄洒落を言うたな、ビキラよ」
「…………」
「どうしたのじゃ、ビキラ。黙り込んで」
「……………」
「待っていても笑わぬぞ、ワシは」
「………ちっ………」
(つまらないなら待つ)
つまらない? なら、まつ!
*** *** ***
回文ショートショートショート
ビキラ外伝「白樺とビキラ」の巻
高原の白樺林を歩いている魔人ビキラ。
その肩には、いつも通り古書ピミウォが立っていた。
「綺麗な白樺林ねえ」
「うむ。下草の赤葉草との対比が美しいのう」
「空の青も、うまく映えてると思うわ」
そして、ぽん! と手を打つビキラ。
「ひとつ、出来たわ。『綺麗白樺の馬鹿らしい歴』って、どう?」
「いや、俳句ではないんじゃから、回文は」
「えーーっとね、白樺は綺麗なんだけど、実はそれには馬鹿らしい歴史があることにするの」
ぎくっ! と騒めく周囲の白樺たち。
「ん? 今、何か言った? ピミウォ」
「いや、何も。しかし無理矢理な句じゃなそれは」
句、と言ってしまうピミウォ。
「じゃあ、『白樺林串屋婆枯らし』って、どう?」
「串屋のお婆さんが、遺恨か何かでもって、白樺林を枯らしてしまうのかのう?」
「うーーん。……そうなるわね……」
「笑えんじゃろう、その遺恨は」
「そ……そうね」
そう言って肩を落とすビキラ。
「一句ひねるって、ムズカシイわね」
「回文でやろうとせんでよいから」
回文で俳句をひねる奇特な人々もいたが。
白樺たちは、
「なんなんだ、この小娘は?!」
「早く出て行ってよね、変に勘の良い小娘」
とか考えていたが、枯らされてもつまらないので、黙って佇んでいた。
「ん? 今、なんか、あたしのこと馬鹿にしなかった? ピミウォ」
「何も言うておらぬぞ。どうしたのじゃ?」
鋭いようで、鈍さが漂うビキラだった。
(馬鹿らしい白樺)
ばからしい、しらかば!
活動報告に書いた「黄砂光点」入れました。
外伝の在庫が出来つつあるので、明日の土曜日(12月9日)も、お昼のほぼ12時台に「ビキラ外伝」投稿予定です。
本編「魔人ビキラ」は、日曜日(12月10日)のお昼ほぼ12時台に投稿予定です。
第四十三話「ツブヤキ三人衆ではなかった件」の巻
あぜ道の傍らにに座るソワカとは何者。
自由律俳句とは?
種田山頭火とは?
各各方、カワズになり切って飛べ!




