ビキラ外伝「空と岩とグラグラと」その他
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ビキラ外伝その1「空と岩とグラグラと」の巻
「あら、可愛いちぎれ雲」
空を見上げてつぶやく魔人ビキラ。
「いいわねえ、雲はノンキで」
散歩に疲れたビキラは、
「どっこいしょ」
と言って、路傍の毛の生えた岩に腰をおろした。
ギョッ! とする古書ピミウォと、岩。
しかしビキラの肩の上のピミウォも、ビキラの尻の下の岩も黙して語らない。
(まあ、岩と思っているのなら、それで良いか)
ピミウォも岩も、そんな感じだった。
ビキラは、街頭テレビで見たワイドショーの話を始めた。
「あのワイドショー、間に入るコマーシャルの方が面白かったわよねえ。ピミウォ、あなたどう思う?」
「まあ、本編より巻かれたオビの方が面白い本もあるからのう」
ピミウォは、ビキラの尻に敷かれた岩を気にしながら、返事をした。
「それぞれで良いのではないかな」
「なんだかグラグラするわねえ、この岩」
岩はビキラのその言葉を聞いて、五体にチカラを込めた。
「あら、グラグラが納まったわ。あたしの言葉が聞こえたのかしら?」
岩と間違われたその巨大な生物に、聞こえたのだった。
(寡黙な蜘蛛か)
かもくなくもか?!
*** *** ***
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ビキラ外伝その2「刑務所の慰問」の巻
絵画怪盗ガマ吉が収容されている刑務所にも、慰問は来た。
歌手。落語家。古典大道芸人。
そしてガマ吉。
ガマ吉は受刑者であったが、飛び入りした。
新政府の刑務所は寛大だったのだ。
真人間になってしまったガマ吉は、盗みではない方向に、その得意な股を活用し始めていた。
「あ、さて。あ、さて。あ、さてさてさてさてさては南京玉すだれ!」
ガマ吉は軽妙な口上と共にガニ股から玉すだれを出した。
「ちょいと伸ばせば玉すだれ。ちょいと曲げても玉すだれ!」
自慢のガニ股より、次から次へと玉すだれを出すガマ吉。
玉すだれ手品だった。
(よし、ぎりぎり被ってない!)
古典大道芸人は、ホッとした。
(玉すだれ出す股)
たますだれだす、また!
「ガマ吉」のリクエストがあったので、書きました。
予定外の善人バージョンも書けて、個人的には良かったです。
今日は「幻日」を見まして、「幸運のきざし」だそうなので、関連は不明ながら、明日も「ビキラ外伝」を投稿しようと思いました。
「ビキラ外伝」12月2日、お昼のほぼ12時台に投稿の予定。在庫が出来てきたのかも知れません。
回文妖術師ビキラの冒険ファンタジー、
「魔人ビキラ」本編は、12月3日の、お昼ほぼ12時台に投稿の予定です。
「幻日」に関しては「活動報告」に書きました。
一ヶ月以上経ってから、活動報告、始めましたのです。
「魔人ビキラ」「ビキラ外伝」ともども、よろしくお願いします。




