ビキラ外伝「北風ぴゅーぴゅー」その他
回文ショートショートショート・ビキラ話
その1「北風ぴゅーぴゅー」の巻
街角で、女の子が歌いながら立っていた。
待ち合わせで有名な、時計塔の前だった。
「北風ぴゅーぴゅーぴゅーりたん。
ぴゅーりたん、ぴゅーりたん」
「ピューリタン? 聞いたことあるけど、何だっけ?」
と、魔人ビキラ。
「エゲレスという国で、市民革命に大きく貢献した宗教の一派ではなかったかな?」
古書ピミウォが答えた。
「ワシらのムカウ共和国では、『清教徒』と呼ばれておるぞ」
「へえ。『北風は清教徒』って歌っているのかしら」
「あの女の子が、清教徒かも知れんのう」
そうではないことが、すぐに分かった。
待ち合わせていた相手が来たのだ。
「お待たせ、みゅーたん」
「やあ、ぴゅーりたん、おはよう」
ぴゅーりたんとみゅーたんは手をつなぎ、レゲエのリズムで踊りながら去って行った。
(エゲレスレゲエ)
えげれす、れげえ!
*** *** ***
回文ショートショートショート・ビキラ話
その2「物の化の前兆」の巻
魔人ビキラは、いつものように肩の上に古書ピミウォを乗せ、小さな木製の橋を渡っていた。
すると、どこからともなく沢山の笛の音が聞こえて来た。
「ほう。笛の練習かのう」
と、ピミウォ。
「この辺りは雑木林。人の迷惑にはならんじゃろう」
「音がバラバラね、ちょっとウザいかも」
と、ビキラ。
「ほら、音が合った。演奏前の音合わせだったのじゃ」
「でも、『ヒュ〜〜、ドロドロ』って、なに? まるでお化けが出るみたいじゃないの」
お化け系は苦手なビキラだった。
「うわっ。顔のない小坊主が、ヒョコヒョコ歩いて来る!」
電光石火、へっぴり腰になるビキラ。
「あいつ、ナニ?!」
「あーー、たぶん、ノッペラボウという物の化じゃな」
と、ピミウォ。
「おたずね者じゃない?」
「おたずね者ではないのう。確か、無害な物の化のはずじゃ」
「逃げるわよ」
「合点じゃ」
ビキラとピミウォは回れ右をして逃げ出した。
辺りに生える、狐の絵筆というキノコが、物の化の出現を知らせていたのだ。
ただ、知らせるだけであったが。
(狐の絵筆笛の音付き)
きつねのえふで、ふえのねつき!
ビキラ外伝は、明日の金曜日(24日)にも投稿予定。
時間は、お昼の12時頃を予定しています。
本編「魔人ビキラ」は、日曜日(26日)の、お昼12時頃に投稿予定。タコ焼きを食べるお話です。
同サイトにて連載していた回文ショートショート童話、
「のほほん」が、111で完結しています。
よかったら、読んでみて下さい。
ほなまた、明日。




