第三十六話「続・ダイガウバー」の巻
前書きに連載していた、回文ショートショートショートは、今回からなくなります。
そしてたまに、「ビキラ外伝」として、ニ〜三編をまとめて本編の間に入れます。
次回、第三十七話「自販機パーピリオン77」の巻
は、水曜日(15日)の、お昼ほぼ12時台に投稿予定。
第三十八話は、日曜日(19日)の、お昼ほぼ12時台。
時代考証? 的にどうなんだろう。
ついに変形機動自立型ロボット登場。頑張れビキラ!
「放った栗教」の解散を、街頭テレビのニュースで知る魔人ビキラと古書ピミウォ。
教祖が、高額で信者に売りつけていたと言う「ダイガウバー」も紹介されていた。
「製造数と押収数が合いません。『捕まる前に捨てた』との情報が多数出ている模様です。もし、拾った方がいらっしゃいましたら、速やかに近在の公番か公安署に届け出て下さい」
と言って、「ダイガウバー」を再度映す。
「これのことよね」
と、拾ったばかりのダイガウバーを、ショートパンツのポケットから出すビキラ。
「うむ。アナウンサーは、『人の寿命が分かる』と言っておったのう」
と、ピミウォ。
(そうと分かれば)
とばかりに、ピミウォに向けてダイガウバーの「ON」を押すビキラ。
「うわっ。『1999』だって。長生きするのねえ、ピミウォ」
「これ。勝手に動かすでない。公番に届けるのじゃ」
「分かっているわよ」
と言いつつ、公番までの道のりで、時々使用する暴漢ビキラだった。
何度も何度も、これでもかとばかりに。
「ひゃあ。あの赤ちゃん、残り寿命『358』だって。長生きするのねえ。丈夫に産んでもらって、良かったわねえ」
「後に、長命魔人化するのではないかのう」
「えっ?! 大変。あの人、寿命がもうないわ」
と、そのカマボコ板状の金属をピミウォに見せる魔人少女。
「ほう。『1』とあるな。寿命があと一年か? それとも、今日中に死ぬと言うことか?!」
「教えてあげた方が良いんじゃない?」
「教えている時に死んだらどうするのじゃ。タイミング的に、殺人犯あつかいされようぞ」
と、ピミウォに注意されるが、放ってはおけず、ダイガウバーで探知した人間、エンドブルーの作業服を着たルドンに近づくビキラだった。
「ちょっと、あなた」
とビキラに声をかけられ、留守宅に入って盗みをしたばかりのルドンは驚いて振り返った。
「なっ、なんでい!?」
やましい心が、ついつい声を荒らげさせた。
「あなた、あのねえ、言いにくいんだけど……」
口ごもる少女の困ったような表情に、
(ヤべえ。空き巣に入るところを見られてたんだ!)
と直感したルドンは、ダッシュで逃げ出した。
「あっ、あなた、止まって! 今、『0(ゼロ)』になっちゃったから! 動かないで! 隕石が頭に当たったらどうするのっ!」
焦って、止まっていても動いていても避けようのない事を叫ぶビキラ。
ルドンは赤信号を無視して道路に飛び出し、脇見運転の大型運搬車に轢かれて頓死した。
その後、ダイガウバーは、「放った栗教」の教祖が悪魔に魂を売って造った、会心にして渾身の「生命吸収器」であることが判明した。
使用者の寿命を吸い取るのだ。
副作用として、残り寿命を表示するのだ。
そのニュースを知って、ビキラの落ち込もうことか落ち込むまいことか。
「あたしの寿命、幾ら縮んだのかしら……」
「もともと、幾らあったものかも見ておらんからのう」
「ピミウォ、ごめんね。先に逝くわ。あたしが居なくなっても、頑張って元気に生き続けてね」
「なにを言うか。お主の方がよっぽど長生きしそうじゃぞ」
ピミウォは取り敢えず、慰めた。
「よっぽど」ではなかったが、ピミウォの言う通りだった。
ビキラの方が長生きをするのだ。
ダイガウバーで調べれば、ビキラの残り寿命が「2001」から「2000」になっているのが、分かったはずだ。
(ルドン死んどる) るどん、しんどる!
後書きに書くべきことを、前書きに書いてしまった……
ほな、またね!




