第二話「弱点を突く金物屋」の巻
日本によく似た国、ムカウ共和国での物語。
獲物を求めて徘徊する賞金稼ぎ、魔人少女ビキラ。
彼女は人間に戻れるのか?!(そういう話ではない)
果たして世界は救われるのか?!(そういう話でもない)
物語の崇高なるテーマは何処に?!(そんなものはない)
タイ焼き器が名産の、とある街から隣街へ行ってみると、そこではタコ焼き器が名産だった。
「へえ、この街はタコ焼き器が名産なんだ」
ビキラは金物屋の前で立ち止まった。
「あちらの街では、タイ焼き器が名産じゃったのう」
と、ビキラの肩に立つ古書ピミウォ。
金物屋の前には、
『名産! タコ焼き八個焼き器部門金賞受賞!!』
の立て看板があった。
「トアル街と、この我がオトナリ街は、姉妹街なんだよ」
金物屋の主人が二本のシッポを振りながら、ビキラに声をかけた。
会話を聞いていたのだ。
「どうだねお嬢ちゃん、タコ焼き美人になってみないかね?」
「美人」や、
「可愛い」は、
ビキラの弱点のひとつである。
「じゃあその、金賞受賞の八個焼きタコ焼き器をいただこうかしら」
「へい毎度あり、かわい子ちゃん!」
ビキラはみっつ、買い求めた。
(タコ焼きやこた)
たこやきやこた
ナンセンスな話にお付き合い下さって、ありがとうございます。
一話完結のショートショート連載です。
よろしくお願いします。
次回、第三話は、「関所のビキラ」
第一話として書かれ、後回しにされた不遇のお話。