表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/117

最終回+1「ビキラ外伝」

魔人ビキラは、おたずね者を追っていた。


食い逃げ魔人ゲラッパは、迷路的な路地に入り込んだ。

曲がり角が多く、距離がなかなか縮まらなかった。


「くそっ、足の早い奴ね」

  ボヤくビキラ。

「さすがは食い逃げ魔人じゃ」

疾走するビキラの肩に、必死にしがみついている古書ピミウォ。

ビキラは一計を案じ、回文を詠唱した。


「多芸下駄 (たげいげた!)」


具現化した下駄は、ビキラの足を自分に乗せると叫んだ。

「お任せあれ!」


軽やかにスキップをしながら進み始めるビキラ。

「ああっ、これは楽!」

  気分もウキウキしてくるビキラ。

しかし、距離は縮まらなかった。


「もっと他の走法はないの?」

  タップダンスを始めるビキラの足。

「見事じゃ、ビキラ」

  感心するピミウォ。

距離はさらに開いた。


「前に進むヤツ、早く!」

  ウサギ跳びを始めるビキラ。

「あっ、(つら)い。死ぬ死ぬ死ぬ!」

  両手をバタバタさせ、(あえ)ぎ始めるビキラ。


ウサギ跳びのまま、角を曲がると、そこは行き止まりだった。

「あっ、いない。逃げられちゃった?!」

ビキラはそう言いながら、行き止まりの壁まで三段跳びをした。


手頃な岩が壁際にあったので、上に登り、

「ここから壁を越えたのかなあ?」

と下駄を()いたまま、岩の上でピョンピョン跳び上がるビキラ。

  しかし壁は高く、天辺(てっぺん)に手は届かない。


「くそう。逃しちゃったかっ!」

  岩の上で地団駄(じだんだ)を踏むビキラ。

足の下でバキボキと、何かが折れるような音がした。


「あれ? 今の音は何?」

  と言って、岩の上で垂直跳びを始めるビキラ。

やはり、バキボキと音がする。


「何? この音」

  片足で岩をガシガシ踏みつけるビキラ。

何かが折れる音と共に、

「あふっ、おふっ」

  と苦しむ声のような音も聞こえる。


「ビキラよ、もうそのくらいにしてやれ」

  ピミウォが言った。

「えっ? 何をそのくらいにするって?」


ビキラはまだ気がついていなかった、ゲラッパの変身の術に。




(可哀想な嘘岩か)

かわいそうな、うそいわか?!




「魔人ビキラ」の完結処理をするのを忘れたので、「ビキラ外伝」をオマケにして、特に盛り上がりもありませんが、これで第一部終了です。


「新・魔人ビキラ」と、第二部のタイトルだけは、決めてあります。

また、のんびりとしたショートショート形式で連載出来れば、と考えています。

毎回読み切りは、しんどいですが、「魔人ビキラ」のスタイルにしたいと思っています。


あ、そうそう、「多芸下駄」は、「のほほん」の方で使ったかも知れません。

それではまた明日、新連載の物語と「続・のほほん」で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ