11 ゴブリン
「あれが、最下級モンスターのゴブリンだ。勇者のお前であれば問題無く倒せるとは思うが、この世界の平均的な人間よりもはるかに強い」
「あれがゴブリンですか。アニメで見た通りの姿ですね」
「アニメ? 意味がわからないが、とりあえず一匹目は俺が倒してみるからよく見ておいてくれ」
「はい、わかりました」
俺は昨日と同じようにゴブリンに悟られないように後方へと移動してから、気配を消して近づいていきそのまま背後から首を刎ねた。
「こんな感じだ。いけそうか?」
「リュートさんは勇者……ではないのですよね」
「俺が勇者? ありえないな。一般人だ」
「でもゴブリンって一般人より強いんですよね。そのゴブリンをあっさり。まさかS級……」
「S級? 何を訳のわからない事を言ってるんだ、次はお前の番だぞ朱音」
「ふふっ……ようやく名前で呼んでくれましたね」
「特に意味は無い」
朱音と話しているとペースを乱される。悪意はなさそうなのだが、本性は見えない。
それからまた三十分ほど歩いて再びゴブリンを発見した。
「ほら、ゴブリンだぞ。やってみるか?」
「はい、やってみます。それじゃあ行きますね『ファイアブリッド』」
朱音が魔法を発動すると炎の塊がゴブリン目掛けて飛んで行き、手前の木に命中して木を燃やしながら押し倒した。
「あ……」
「あ……じゃ無いだろ。お前は馬鹿なのか。こんな山の中で炎を放つとはありえない。お前本当に勇者か?」
「すいません。初めてだったんです」
「それよりもゴブリンがこっちに向かって来たぞ!」
「あ、無理です。あれ怖いです。リュートさんお願いします」
無理ですって、こいつ勇者なんだよな。
俺は向かってくるゴブリンを迎え撃つべく剣を構えて、無防備に襲いかかって来たゴブリンの胸を貫いた。
ゴブリンが絶命するのを確認してから自分のステータスを確認するとなんと体力が一上昇していた。
ゴブリン相手にステータスが上昇したのはこれが初めてだが昨日は変化がなかったのにどう言う事だろうか。
昨日オークでも同じような現象が起きていた。
これは、弱いモンスターでも積み重なると、ステータスが上昇するのか?
ゴブリンでも数を倒せば意味をなすのかも知れない。
これは俺にとっては物凄く大きい事だ。
このままモンスターを倒し続ければいずれ……
「リュートさん、ありがとうございます。どうかしましたか?」
「い、いや何でもない。お前、この場所で炎の魔法とかありえないだろ。使うならもっと接近してからだ。そもそも他に使える魔法は無いのか?」
「え〜っと一応ありますよ『ウィンドカッター』って言う魔法です」
「じゃあ次はそれでやってみろ」
「はい」
この世界に来たばかりの状態で回復魔法と合わせて少なくとも三つ以上の魔法を使えるとは、やはり勇者は人外だな。
ただ、今までの動きを見る限り朱音は俺よりも弱い。
隙をつけば十分殺れる。
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