変わりよう
「これは一体どういう事だ…」
久しぶりに帰郷した青年は、しばらく見る事のなかった故郷の様変わりした様子に茫然自失と立ち尽くしていた。
あるべき場所にある実家や他の建物がなくなっており、建物だけでなく、人や動物達の姿も全く見かけない。故郷は完全な荒野となっていた。
青年は無駄と知りつつも大声で叫んでみた。叫ばずにはいられなかった。
「おおい!! 誰かいないのか!! 誰かいたら返事をしてくれ!! 僕が帰って来たぞ!!」
しかし、やはり青年の叫びに応える者は誰もおらず、結果は無駄に終わった。
青年は荒野をあてもなくさ迷い続け、とうとう力なく膝から崩れた。
竜宮に行っている数百年の間に起きた核戦争の影響で、村が消滅した事など知る由もない青年は、救いを求めるように玉手箱の蓋を開けた。