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異世界ばとるすぽーつ!  作者: 司真 緋水銀
第1章 異世界と球技アイスクラッシュヘヴン
7/30

ろくたまっ!


「さぁ、こちらボールよ。この一球で終わりにしてあげる」


相手キャプテンさんがそう言うと球を取った小さな女の子が人差し指で氷球をくるくる回し放り投げてキャプテンさんに渡す。

凄い……あの氷球すっごく重いのに…!

どうやってあんな簡単に……


「あの子の属性も風よ、きっと風の力で浮かせてる。それよりも相手ボールよ、攻撃に備えて。何とか耐えてボールを奪うわ」


ミュリお姉さんが私とミーちゃんの側へ来て声をかける。

そっか、攻守交代制じゃなくてサッカーやバスケみたいにボールを奪って反撃してもいいんだ!


「相手の属性は『氷、重力、空間、風、防御』ですよね?重力と防御は能力的に考えて守備担当かと思われます。注意すべきは…『空間』使い…今までの試合ではあまり能力を使っているのを見た事がありません…」

「そうね…だけど他の『空間』属性の人達はサポート寄りの能力に長けていたわ。どちらにせよ考察している暇はないわ、まずはマリアとシルファニアに注視しましょう。そしてサブ属性はマリア以外『氷』だとは思うけどそっちにも気を配って」


どうしよう…私も属性ってやつがわかればいいんだけど…

何か魔法みたいな力が使えれば私も…!


「おたまとミィシャンは無理しないで、できるだけ攻撃の余波を喰らわない事だけに専念して。大丈夫、ニャンコとフウジンとあたしが何とかして氷像を守ってみせるから」

「はい!もし傷を負ったらわたしがすぐに回復します!」


うーん、気を使ってくれるのは嬉しいしありがたいけど…これじゃあただの足手まといだよ!

何か考えないと…試合が終わるまでに私にできる事を!

でも魔法は使えないしあのボール重くて持てないから攻撃もできない……

最悪氷像か皆の盾になるしかないよ!

でもあんな勢いでくるボールに当たったら死ぬよ!

どうしよう……とにかく今はプレーを見て考えないと!


ダッ!


「!」


そんな事を考えている間にフウちゃんがボールを持つ相手キャプテンさんに斬りかかりにいった!


『おーっと!ボールを持つアイスマリア選手にフウジン選手が襲いかかるーっ!ボールアイ王国随一の剣士相手にボールを持ったままのアイスマリア選手はどう裁くーっ!?』

『どちらも戦闘に関しては超一流、純粋な勝負なら結果はわからない……ただ』


グゥンッ!

ガクッ!


「!?っちぃ!」

「忘れましたか?これはスポーツ…チーム戦ですよ?貴女は少し周りに気を配るべきですね」


眼鏡の女の人がフウちゃんに二本指をかざすと飛びかかったフウちゃんの体勢が崩れる。

また重力ってやつ!?

ボールを奪おうとした選手の妨害はプレーの一環だから反則じゃないんだ!


「どうぞ、決めてきてくださいマリア。私がフウジンを押さえます。ミュリフォーリアに気をつけて」

「カタリール、そんな心配は無用よ。こんなチームに小細工は必要ない、圧倒的な力の差だけで決めてあげるわ」


相手キャプテンさんはボールを持ったまま中央付近から動かない。

ただ静かに…目を瞑り佇んでいた。

片手にはいつの間にか氷でできた扇子を持っている。

一体何を……


ぞくっ!!


その瞬間、身体中を凍らされるような冷たい何かが走り抜けた感覚がした。

うぅっ……寒い……ッ!?

「おたまさんっ!!伏せてくださいっ!!」


ガバッ!!


突然ミーちゃんに押し倒される。

何何!?一体……


【絶氷血雨の舞】


ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクッ!


「うわぁぁぁぁっ!?」

扇子を持って舞う相手キャプテンさんの頭上からつららが雹みたいにこっちに降ってくる!?


「おたまさんっ伏せて動かないでくださいっ!!これはアイスマリアさんの魔法!わたし達への攻撃はルール上反則になるので当てる気はありません!邪魔させないようにするただの威嚇です!」


そんな事言われてもっ…怖いよっ!!

でも確かにあちこちを埋め尽くす程飛んできているのに私達には一つも当たらない…

でも動いてプレーの妨害にでも行ったら間違いなく当たって死んじゃうよ!

このままじゃ相手キャプテンさんフリーになっちゃう!


「大丈夫です!ミュリフォーリアさんとニャンコさんがいますっ!あの二人ならっ…」


シュウウウウウウウウウウウウッ……


「無駄よ、あたしも氷魔術師。この程度ならわけないわ」


ミュリお姉さんは襲いくるつららの雨を意に介さずいとも簡単に眼前で消し去り続ける。


「勿論知っているわよ、貴女が我には及ばないまでも近い実力を持っている事くらい。だけど…この状態で他を構う余裕はあるかしら?」

「!」


いつの間にか相手キャプテンさんの手からボールが消えてる!?


「ニャンコ!気をつけて!どこかわからないけどボールがくるわ!」

「わかってるよ!ウチに任せて!」


氷像の前には氷像守備役のニャンちゃんが陣どっている。

依然こっちのフィールドにはつららの雨が横殴りに襲いかかってくる!


ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクッ!


「ニャンちゃんっ…!」

「おたまさんっ!動いては危険です!大丈夫です、ニャンコさんは特殊な『防御』属性です!きっと氷像を守ってくれます!」


この状態じゃ私は頼る事しかできないよ!

せめて相手の動きを眼で追って対策を考えるしかない!


一体ボールはどこに!?

いつの間にか誰かに渡した!?

小さい女の子と宝塚みたいな女性の姿が見えないけど、もしかしたらその二人がどこかから…

ニャンちゃんも同じ考えのようで氷像の前でフィールドのどこかにいる敵二人の姿を捜す。


ピキピキピキピキピキピキピキピキピキ……


……何の音…?

どこかから氷が造られるような音がする…


「!!」


ニャンちゃんは……まだ下を見て二人を捜してる!

チームの皆誰も気付いてない!


「ニャンちゃん!!!上っ!!」

「言ったでしょう?小細工なんて必要ない、我の力だけで終わらせるって」


ボールは相手キャプテンさんの頭上にあった。

とてつもなく大きな氷の剣と共に。


ピキピキピキピキピキピキピキピキピキ…


私達の氷像に刃を向け斜めを向いた巨大な氷の剣。

まるで大きな氷像の命を一刀両断するような…魔女の刃。

その切っ先に。

まるで氷球が意思を持ったかのように剣先に貼り付き剣と共に氷像を狙う。


「踊りなさい、氷の刃よ」


【神殺氷刃の舞】


ゴオッ!!


「ニャンちゃんっ!」



ババババッ!!


【受け流しの構え】


ガキィィィィィンッ!

ギギギギギギギギギギギギギギギギギギッ!


「ありがとーおたま!おたまの声でぎりぎり気づけ……ったよ……っ!」


氷像に凄い勢いで向かった剣と球をニャンちゃんが跳んで受け止めた!

凄いっ!あんな勢いの球を素手で止めたよ!

それにまだ降り注ぐつららを全て避けながら!

凄い!凄いよニャンちゃん!


「……っ!ぅぅぎぎっ!」


………!?

氷像と剣と球に挟まれたニャンちゃんが苦しそうに呻いてるっ…!?

もしかして…止めたと思ったけど…まだ止まってない!?


ギギギギギギギギギギギギギギギギギギッ!


相手キャプテンさんが氷のように冷たい笑みを浮かべた。


「無駄よ」

「………………っ!!!にゃ、にゃはは~……っ!これは…っ無理だにゃ~……ごめんっ…」




ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!


「ニャンちゃんっっっっ!!!」

「「ニャンコっっっっ!!!」」

「ニャンコさぁぁんっ!!!」



『おーっと!先制はアースリンドウ!絶氷の魔女ことアイスマリア選手の巨大な刃が牙を剥いたーっ!!!』


【ボールアイ王国】

・氷像損傷率42%…残り耐久値58%

・ニャンコ……ダメージ75%……残りHP25%




















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