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異世界ばとるすぽーつ!  作者: 司真 緋水銀
第1章 異世界と球技アイスクラッシュヘヴン
3/30

にたまっ!!


「さぁ~っ!間もなく始まります!互いの国の威信をかけた氷上だけど熱き戦い!今試合が初となる顔合わせの『ボールアイ王国』vs『アースリンドウ連邦国』の一戦!実況はお馴染み!わたくしかわゆい天使族サタナキアと!」

「解説の悪魔族エンジェリア、よろしく」


ワァァァァァァァッ!!


「ありがと~!わたくしを見にきた薄汚い豚ども~っ!」

「あんたを見に来たんじゃない、お客様を豚なんて言わないで」

「ケラケラ!悪魔族なのに相変わらずお堅くて真面目だねぇ!」

「あんたこそ天使族なのに口悪い、直して」

「ケラケラケラっ!はいっ!というわけでね~いつも通りに始まりますけど凄い観客の数ですね~!さすがこの国で一番人気の『アイスクラッシュヘブン』!弱小国と言われててるボールアイ王国もこれはホームの利で奇跡を起こせるかなっ!?」

「それは難しい、何せ相手が強豪国アースリンドウ連邦。『アイスクラッシュヘブン』では世界ランク3位の強敵。『氷上の魔女達』の牙城を崩すのは厳しい」

「ほう、ではアースリンドウ連邦の『氷上の魔女達』注目選手と言えばっ?」

「やはりこの永久凍土を創り上げた魔女の一番弟子、『絶氷の魔女』こそ【アイスマリア】。彼女の氷の扱いは群を抜いてる。このスポーツの申し子と言ってもいい。他にも重力使い、空間使いなど多種多様な人材が揃ってる」

「なるほど~ではそれに対するボールアイ王国の注目選手は誰かいるかなっ!?」

「氷魔術師のミュリフォーリア、魔術師としては悪くない才能。風剣技のフウジン、剣士としては一流……選手個々の能力はまずまずなんだけど何分チームとしての纏まりがあまりない……故にオッズを覆すには何かしらの要素が必要」

「なるほどね~!じゃあここらで『アイスクラッシュヘブン』のおさらいいっちゃう!?必要ない!?はいダメ~!決まりだから説明するね豚ども~はいっドーンッ!!」


------------------------------------------

氷上の球技『アイスクラッシュヘブン』


五人対五人でやる氷上の球技。

空以外全方位を起伏のある永久凍土の氷に包まれたフィールドで15kgの氷球を使い、相手フィールド上の氷像シンボルを破壊すると勝利。


【ルール】

・制限時間30分

・氷像への直接攻撃禁止

・氷球は何を使って動かしてもよい、魔法、武器、道具、身体のどの部位を使っても良い。

・氷像はそのチームの氷属性の魔法使いが創造する。氷像の大きさ、形などはそのチームの自由である。(相手チームにわかる程度の大きさである事)

・氷像に一度氷球を当て削るまでを1プレーとし、1プレーが終了したら相手ボールで再開。

・プレー中の選手同士の攻撃は認められるが、原則プレー外での攻撃は禁止。相手を死に至らしめた場合その選手の所属チームは敗北、選手は資格永久剥奪とする。

・どちらかのチームの氷像損傷率が100になる、若しくは交代人員を含め出場できる選手が五名以下になった時点で試合終了。

・制限時間を過ぎた場合、損傷率の低い方が勝利。

・交代は3名まで。

・チームは一回ずつタイム(5分)が使用できる。

・タイムは1プレー終了時か、自陣がボールを所持している状態でないと申請できない。

・必要属性『氷』一名以上        

・推奨属性『風』『防御』『回復』『重力』

・禁止属性や禁止武器、道具はないがゲームの進行を著しく阻害するものや試合が成立しないものを使用する場合、全体にかけるのは禁止とし…その対象は随時一名までとする。(例・動きを封じる、時を止める、など)

・1プレー終了時、選手にかける類の能力は解除される。

------------------------------------------


〈選手入場口〉


あわわわわ……安請け合いなんかするもんじゃないよ…何この危険なスポーツ!!

氷像の破壊とか…しかも相手への攻撃ありなんて格闘技じゃん!

魔法とか私使えないよっ!?ボール持ったら逃げるしかないよっ!?

そもそも15kgのボールなんて持てないよ!?

5キロのボウリングの可愛いお球が限界だよ!


「おたまさん……大丈夫です。わたしの属性は『回復』です、怪我をしてもすぐにわたしが傷を治します!」


怪我する前提!?


「大丈夫だよおたま、ウチの属性は『防御』。氷像とウチの安全は保証するからさ」


私入ってないよ?!私の安全保証されてないよっ!?


「『アイスクラッシュヘブン』はまだ易しい球技よ、基本的にプレー外での相手への攻撃でチーム人員を減らす行為は原則禁止されてるから。他国には相手を攻撃してただチームの人数を減らしていくだけの球技だってあるのよ?」


それ最早球技関係ないよ!?単なるバトルロワイアルだよ!?


「ふん、怖じ気づいたなら隅っこで見ていればいい。私が相手チームを全員潰す。それで終わりだ」


バトルロワイアルに最適な人ここにいるよ!そっちの球技?に出場した方がいいんじゃないかな!?


「いい?相手は氷上の魔女達…魔法攻撃が強力すぎて球を動かす時の魔法の余波ですら喰らうと危険よ。わたくし達は交代要因がいない、一人でも再起不能になればその時点で試合終了。ニャンコは氷像を守りつつ余裕があれば皆にも防御魔法をかけて。ミィシャンは回復に専念。フウジンがアタッカー、私が魔法でサポート。おたまは能力を確認してる時間がないから最初はフリーに動いてみて。試合で確認するわ」

「ふん、私一人で充分だ。見ていろ」

「うーん、ウチたぶんそんな余裕ないかな~?まぁやってみるよ」

「こ、怖いですけど頑張ります!」


なんか…チームにまとまりを感じないなぁ。

チーム戦で一番大事なのはそこだと思うんだけど…異世界にはそんな慣習がないのかなぁ…?…じゃなくて!


やっぱり辞退させてもらおう!

球技は好きだけどこれはいきなりすぎるよ!

しかも私に能力なんかないし!不安しか感じない!


「あの!ごめんなさいですけどやっぱり私っ…!」

「これがアイスクラッシュヘブンで使う『氷球』よ、おたま。今回はわたくし達ボールでスタートだから預かってきたわ。絶対に壊れない『不損の氷球』。どんな力を使っても動かすことしかできない球、持ってみる?」


キラキラキラキラキラ……


「………うわぁぁ………っ!!!」


ミュリお姉さんの手の上には宙に浮いた美しい氷の球体があった。

それは私が初めて出会う球……目をそらしたら消えてしまいそうな程透明な……それでもしっかりそこにある事を示してくれる…矛盾を孕んだ紫で透明な球。


「すごぉぉぉいっ!すごいよぉぉっ…!」


これが異世界球技のボールっ!

何て美しいんだろぅっ!

この子と触れあいたいっ!触りたいっ!

フィールドの上でっ…話し合いたいっ!


「はぁっ…はぁっ…さ、触っても…いい?」

「……え、ええ…どうぞ…」


若干皆が引いてるような気がするけど関係ないよ!

私は儚くもあり力強さも兼ね備えたこの子(球)を手にとった。


(この子の属性は…『球』…自信なさげだったけど…。世界には色々な属性があるし全て網羅しているわけではないからわからないけど、読んで字の如くなら球を操るのもお手のものの筈…もしかしたら…本当に球技の女神……)


「わわっ!!?」ガクンッ!


重いっ!?

忘れてたよっ!15kgなんて持った事ないってことっ!


ドスゥゥゥゥンッ!!!


「…………」


「「「「……………」」」」



----------------------------


ピッピッピーーーッ!!!


「さぁ~!遂に試合開始ぃっ!!氷球の女神は果たしてどちらのチームに幸運と富をもたらすのかっ!!」






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