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最終決戦準備【パラレルワールド編】

【パラレルワールド】(現実世界の僕)


 僕の知る限りではこちらの世界の凛は学園を牛耳れる程の力は持っていなかった。それは彼女の天敵がまだ健在だからだ。


 こちらの僕が知らない情報を僕は持っている。それがこの勝負の鍵だ。


 「なぁ、金城志津に会いたいんだけど」


 「“君”は志津ちゃん狙いなの?可愛いもんねー」

 綾はなにか誤解しているようだが、とにかく行動は早いほうがいい。いつまた入れ代わることになるかわからない。

 

 「皆、放課後にはここに来るけど、君が会いたいって伝えればきっと飛んでくるよ」


 そう言って電話を掛けに外に出ていく綾。(あいつらそんなに仲良くなってるのか)



 

 「伝えたよ。すぐ来るって。一応、他の皆にも伝えといたよ」

 「ありがとう」

 綾が戻ってきた。さて、待っている間に綾にだけでも計画を伝えておこうか。そう思った瞬間に再び病室の扉が開く。


 「お待たせにゃん」

 金城志津、そういえば、こちらではにゃんにゃんキャラだったっけ。

 それにしても早すぎる。

 「太郎様の為にヘリで飛んできたにゃん」


 さすが金持ち令嬢。本当に空飛んでくるとは思ってなかった。

 

 「お前に頼みがあるんだけど」


 「なんなりと言ってくださいにゃ」

 

 「生徒会長、鈴村凛を堕とせ」

 単刀直入に告げると、志津は驚いたように綺麗な唇を開いたと思ったら次の瞬間、高貴な笑顔を僕に見せる。


 「そんなことでよろしいのですか?……にゃん」

 「無理ににゃん言わなくていいぞ」


 「無理なんてしてないのにゃ。でも、ご褒美は先にもらいますよ。太郎様」


 そういうと彼女は僕が横になっているベッドの縁に座り、髪をかき上げながらその綺麗な唇を添えてくる。僕の胸元から徐々に登ってきた彼女の舌が口の中に流れ込んでくる。

 色っぽい息づかいが病室を埋めつくす。


 お互いの身体を触り合うその手は下へと降りてゆく。


 現実世界では凛によって完全に壊された彼女はこちらの

世界では生き生きとしている。


 彼女の手が目的地までたどり着く。そこに待ち構えているモノを手に取ったとき彼女は振り返り言った。


 「(あ~や~)さ~ん(怒)」


 そういえば、さっきまでさんざん綾にやられてたんだ。

 綾は苦笑いを造り出す。


 「はぁっはあっ、志津~っ、ヘリはズルいぞ」

 ソフト部エースの体力を活かし一番手でたどり着いた里美が入ってきた。

 そのあと、だいぶ遅れたが元「僕をいじめてくるランキング」ランカー達が勢揃いした。


 「抜け駆けは許さねーぞ」お漏らし番長桜は強気だ。権力はもうないはずだけど。

 「こんなに走ったの久しぶりだね」

 「ほんとね」一華と二葉は楽しそうに笑っている。


 「はぁ、はぁ………みんなまってよー」

 一番最後に到着したロリっ娘麻里は服も乱れ、ヘトヘトになっている。


 「みんなお疲れ様」

 綾が皆を労う。


 「あら、皆様。太郎様は私を選んだのよ。今日は私の番にゃのです」



 狭い病室に賑やかな笑い声が響く。

 僕は今まで、現実世界で皆こんな笑顔を見たことがあっただろうか。

 反省や、後悔といった言葉が頭をよぎる。


 でもこれで作戦は始まった。

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