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『激昂』

【パラレルワールドの僕】(現実世界)

 目を覚ました僕はある変化に気づく。

 全身を突き刺すような体の痛みが無くなっている。なぜだか尻の穴は痛いが。

 そして、なぜか上と下がスースーする。不思議に思い頭に手を伸ばすと、なんと、毛がないではないか。


 では、下は…焦ってズボンを降ろすとつるつるになったそこには隠れる茂みを失なった小動物がいた。


 これは元々つるつるである麻里の仕業なのだろうか。

 教室でそんなものを出したままにしていても周りの目が気になるので隠れ家に案内することにしよう。


 強烈な周りの視線を感じながらも、そのまま麻里の顔に小動物を持っていく。小動物は肉食獣に変化する準備を開始する。


 「あっ、…えっ……」


 戸惑い顔を赤くする麻里はそのまま顔を伏せてしまった。

 いつもなら人が見てようが自分から咥えてくるのだが、なにかがおかしい。

 

(周りの声)

 「ついに、頭おかしくなった?」

 「可哀想じゃん笑」

 「変態!」

 「そのガキも変態だからいいんじゃない」

 回りの二軍、三軍だったやつらが見下したように野次ってくる。

 なぜか一軍の麻里までバカにされてる。

 

 

 「ほら、やれよ」

 麻里は二軍の女に服を剥ぎ取られ僕の足元に投げ出される。

 自慢の毒舌も出てこない。


 回りにはスマホを向け動画を撮っているギャラリー達。ネットにでも上げられるのだろうか。

 

 投げ出された麻里はゆっくり立ち上がるが下を向きおどおどとした態度でつるつるを手で隠している。

 いつもの勝ち気な彼女はそこにはいない。

 そのことに腹がたった。その気になればこんな三下ども相手なら自慢の毒舌でケチョンケチョンに言い負かせるはずなのに。


 「ちょっとこい!」

 彼女の腕を掴み教室を出て屋上へ向かった。麻里は裸のまま無理やり引っ張られる。つるつるはやはり隠したいようだ。


 

 「なんであんな奴らにいいようにされてんだ!」

 「………」

 

 屋上につき怒鳴るように質問するが彼女は下を向いたまま答えない。



 …ふぅ、深呼吸をして頭を冷やした。他にも聞かなきゃならないことが山積みだ。


 「なんで僕はボーズでつるつるになってるんだ?お前の趣味か?」


 きょとんとする彼女。今までとは態度が違う気がする。それでもなにも言わない。


 

 「身体に聞いてやろうか」

 そういうと彼女は身構えた。いつもなら喜ぶところなのに。

 そんな彼女を優しく抱き寄せ、その柔らかい唇に僕の唇を重ねる。


 しばらくの沈黙が続く。





 「………ふぇーん」声を上げ泣き出す麻里。

 「ダメなんだよー。私たちと一緒にいたらご主人様は退学にされちゃうよ」


 「誰に?」


 「凛様に決まってるでしょ!」


 凛…様?詳しく話を聞いていくと、凛は理事長の娘らしい。これはパラレルワールドでは知り得なかった情報だ。

 その彼女に僕を退学にするだの、なんだの脅され、逆らえなくなったという。


 

 そして、僕がパラレルワールドで意識を失っていた10日間の間になにがあったのか、詳細に教えてもらった。


 「つまり、僕は世間的に殺されたということか」

 間に合わなかった…


 パラレルワールドで物理的に殺されかけた僕は現実世界では精神的に殺されかけてるらしい。

 

 「話してくれてありがとう」

 

 「……あなたはご主人様じゃない…気がする」


 麻里は自信なさげにそう言った。

 少し彼に嫉妬する。ここまで自分を見つめてくれる女が彼にはいるのだ。恐らく、彼が「下僕」と呼んでいる彼女達全員が。

 


 そんな彼の宝物をも彼から取り上げた凛に怒りが込み上げる。

 

 彼は今苦しいはずだ。


 凛のせいで学園全員に苛められ。

 凛により宝物まで取り上げられ。

 凛のせいでその宝物達まで被害に遭っている。

 

 


 

 凛が彼達の笑顔を奪っているのなら………。


 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【現実世界の僕】(パラレルワールド)

 

 全身に広がる強烈な痛みで目が覚めた。

 そこは先程までいた教室ではない。ここがどこなのかはわからないが現実世界ではないことは確かだ。


 幼なじみの綾がベッドで横たわる僕に抱きつき必死に腰を振っている。

 現実世界ではあり得ない状況。髪の毛もある。


 果ててやっと落ち着いた様子の彼女に声をかける。

 「なぁ、なにしてるの?」


 「あっ、太郎。起きてたの?身体大丈夫?」

 あんなことしておいて彼女は真剣な眼差しで僕に問う。


 「なんか全身すごい痛いんだけど、なにがあったの?」


 「やだ、ホントに記憶喪失になったの?」 

 

 「寝る前の君からの伝言だよ。[凛に気を付けろ]だって」


 笑いながら話す彼女。冗談だと思っているのかもしれないが、僕は本当になにも知らない。


 「この何日かで起こったこと全て教えてくれ!」


 

 綾はなにか考え込み、10日前に起こった事故のことを教えてくれた。その上で、先程聞いた僕から僕への伝言を考えると。つまり…。



 「“彼”は君にこの伝言を伝える為に必死だったみたいだよ」


 彼?君?困惑する僕の表情を見て彼女は笑う。


 「幼なじみナメんなよー。君が彼じゃないことくらいわかるよ」


 なんとも、完全にナメきっていた。現実世界では見ることの出来ない綾の勝ち誇ったような笑顔が眩しい。

 彼女はパラレルワールドの“彼“の宝物。話によると彼女を僕が救ったらしいが…つまり、パラレルワールドの僕を車の前に突き飛ばした凛は綾までも抹殺しようとしたということか。


 なぜ綾まで………怒りが込み上げる。

 彼は凛に殺されかけた。

 綾も凛に殺されかけた。

 彼は自分を犠牲にし宝物を守った。

 彼は自分がこんな状態なのに僕の心配までしてくれている。




 凛が彼達を困らせているのなら………。




ーーーーーーーーーーーーーーーー


【現実&パラレル】(双方の僕)

 

 許せるはずがない!!!!!!




 『 お 仕 置 き が 必 要 だ な 』

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