再会、そして
作風少し変えたつもりです。
読みにくかったらすみません。
ちなみに主人公の名前は加賀見太郎です。
あまりに適当につけた名前だったので最初の1話でしか出しませんでしたが、幼なじみとの会話の都合上必要に感じたのでこの終盤で久しぶりに出しました。
【パラレルワールドの僕】(事故後)
目を覚ましたとき、そこには真っ白な見知らぬ天井が広がっていた。
手に温もりを感じ首を動かすとそこには幼なじみ海藤綾がいた。
僕の手を握り疲れ果てたように目をつむっている彼女を見たとき僕は全てを思い出した。
あの日、綾と二人で信号が変わるのを待っているときに背中に広がった衝撃。(なんとか綾だけでも)と力一杯歩道へと押し戻した。その時、僕らの背後にいたであろう人物の顔が視界に入った。僕はその人物が誰であるかすぐわかった。生徒会長で一度は僕の「友達」になっていた鈴村凛だ。
その直後、僕は車に激突され吹っ飛ばされた。意識も飛んだ。
綾に握られている手に力が入る。
体は動かせなかった。どうやら長い間寝たきりになっていたようだ。
綾が僕の手の変化に気付き真っ赤に腫れ上がっている目を開ける。
「……太郎!」
綾は力強く僕を抱き締める。控えめな膨らみがくっついていることなど気にならないほどの痛みが全身を襲う。
「綾、無事でよかった」
痛みをこらえ綾の背中に手を回す。
「なに言ってんの!太郎が生きててよかった。あれから10日も起きないんだもん」
綾の声は震えていた。
「皆も学校が終わったら毎日来てくれてるんだよ」
「皆って?」
「里美ちゃん、麻里ちゃん、一華ちゃん、二葉ちゃん、桜ちゃん、志津ちゃん」
早口言葉のように一息で言い切った綾は少し得意気にこちらを観てる。
「太郎、ガールフレンド多すぎるよ。本命は決めなきゃダメだよ」
「お前、あいつらに苛められてないか?」
心の中の「本命はお前だ」という呟きを無視し、過去の僕自身の過ちを思い出す。
「最初はちょっとね。太郎が入院したあと独りになってからトイレで服を脱がされたり、知らない男の子のモノを舐めさせられたり」
だいぶヘビーだが。
「それで、なんでそんなことするの?って聞いてみたの」
それは過去に僕が命じたからだ…
「そしたら皆、太郎が好きだからって言ってたんだ。だから渡しも太郎が好きだって伝えたら、皆優しく笑ってくれて」
今のは愛の告白だろうか?しかし彼女は間髪いれず話続ける。
「今では皆友達だよ。いつ太郎が目を醒ましてもいいように交代で学校休んで誰かが常に側にいたんだよ」
ありがとうと伝えたいが彩は話続ける。
「でも、こないだ麻里ちゃんが当番の日に私達が病室についたら彼女、太郎のモノを咥えてて。股がってたら大きくなったのって嬉しそうにしてたんだよー。ちょっと嫉妬しちゃった」
勝手になにをしてるんだ。しかし、僕の機能は無事のようだ。よかった。そして綾が彼女たちの影響を受けすっかり垢抜けていることに不安を感じた。
不安。不安といえば。
綾はとめどなく喋っているが僕には考えなければいけないことがあった。
僕を突き飛ばしたのはきっと凛だ。彼女はなにか僕に恨みを持っているようだった。金城志津をにゃんにゃん令嬢へと堕とした時から口も聞いていない。なにか別の結果を求めていたのだろうか。
問題は現実世界の僕だ。自分がこんな状態の時に他人の心配をするほど僕は出来た人間ではない。しかし、相手が自分自身となれば話は別だ。
パラレルワールドの僕が彼女に殺されかけたんだ。現在世界で今度こそ僕が殺されるということは無くはない筈だ。
こちらから向こうの世界に行こうと思って行けたことはない。
でも、なんとか伝えなければ。
まだ喋っていた綾を黙らせ彼への伝言を頼む。
「僕は少し寝る。もしも目を覚ました僕が記憶を失っていたら伝えてくれ。凛に気を付けろと」
綾は言葉の全てを理解出来ていないようだが、きっと伝えてくれる筈。
行けるかはわからないが、行くしかない!
股間に置かれた綾の手がズボンの中に入ってくる前に僕は眠りについた。




