王家
そんなことをつらつらと考えながら、プリシアや侍女にされるがままにしていたら、いつのまにか飾り立てられてしまっていた。
鏡に写った自分の姿にレティーナはなんとも言えない顔をする。
編み込み、ハーフアップにされた髪には花をあしらった髪飾り。
身に纏うドレスは上半身は身体のラインに沿い、下はふんわりとしたフレア。
スカート部分は幾重にも薄い布が重ねられ、美しいグラデーションを作っていた。
全体的に青と白を基調にされた装いは、レティーナの美しさをさらに引き立てていた。
なんで、こんな装いをされているのかと、レティーナが思っていると、軽いノックの後にデルフェスが顔を出した。
「あぁ、準備は終わったみたいだね。じゃあ、行こうか」
そう言って、状況が分からないままのレティーナを連れて、さっさと王宮へ向かった。
馬車の中で、レティーナが父の事を聞けば、既に王宮にいる、と返された。
なぜ、王宮へ呼ばれているのか聞いても、着けば分かるとしか返されず、レティーナは質問するのを諦め、おとなしく王宮へ向かった。
「来たか。レティーナ嬢、そう畏まることはない」
王宮に着き、通されたのは王の私室。
そこには、王と王妃、そして、父親であるラナンキュラス公爵がいて、二人を迎え入れた。
「学園での話は聞いている。生徒会はもとより、成績も優秀、淑女としての立ち振舞いも非の打ち所がないと」
「ダンスや乗馬も得意と聞きましてよ」
王の言葉に王妃が楽しそうに告げる。
二人の意図が見えず、怪訝に思いながらもレティーナはそれを表には出さず、穏やかに謝辞を述べた。
「そなた、まだ婚約者がおらんのだろう?どうだ、さすがに王太子とは無理だが、第三王子の婚約者になってくれぬか?もちろん、これは命令ではない。会ってみて、無理だと思うなら断ってくれて構わん」
「第三王子殿下、ですか?」
王の言葉にレティーナは困ったように聞き返した。
彼女の記憶違いでなければ、現国王の子供は王太子と幽閉されたハイドライドだけのはずなのだが…。
そんなレティーナの困惑を他所に王は頷く。
「あぁ、長く養療していてな。その為、公式なお披露目もまだしていないんだが、この度快癒したから呼び戻したのだ」
「ギルティア、レティーナ嬢に挨拶なさい」




