事の顛末
「あぁ、レテ、ここにいたのか」
「お兄様、どうなさいましたの?」
あの、連れ去れ事件から半年。
学園は何事もなかったかのように平穏が戻り、レティーナは生徒会の仕事の合間を使って図書館に籠っていた。
あの後、レティーナは3日ほど意識が戻らなかったらしい。
目を覚ましたときには全ては終わっていて、レティーナは腑に落ちないと思いながらもそれを受け入れるしかなかった。
モンステラ卿とハイドライドの結末には納得できたが、ギルバートまで幽閉扱いされたことに納得できなかったのだ。
彼はどう考えても被害者で加害者にはなり得ないというのに…。
それでも、王家の下した結末には否を唱えることは出来ない。
レティーナはただの公爵令嬢でしかないのだから。
「どうした、じゃないだろう。今日は帰ってくるように言ってあったはずだろう?」
そういって、デルフェスはレティーナの手から本を取り上げると、彼女を外へと促す。
それに素直に従いながら、そういえば今日は王宮へ行くから午後から屋敷に帰ってくるとうに言われていた事を思い出す。
「まったく、レティったら、ちょっと目を離した隙にいなくなるんだから」
デルフェスと一緒に探してくれていたのだろう外にいたプリシアが呆れたように言ってきた。それに、苦笑を交えながら軽く謝罪を口にする。
レティーナはハイドライドがいなくなり、訪れた平穏な学園生活には満足していた。生徒会の仕事がある分、以前より時間は減ったが、幼馴染みのプリシアやルドベキス、アイリスやクレア、リリアーナと過ごす時間は楽しい。
生徒会の仕事も面倒ではあるが、それなりに楽しんでいた。
ただ、ふとしたときに寂しさの様なものを感じるときがあるだけで。
ちなみに、カルミア嬢はハイドライドの養療についていきたいとチューベローズ侯爵に頼み込んだがすげなく断られ、ハイドライドの取り巻きの一人だったアンスリウムと婚約させられたらしい。
もう一人の取り巻き、コランバイルは憑き物が落ちたかのように、人が変わり真面目に勉学に励んでいるようだった。




