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理由と妥協案2

「ギルバート様?」


現れた相手が予想外過ぎたのか、レティーナは微かな困惑を浮かべながら、相手の名前を口にした。


「こんにちは、ラナンキュラス嬢」


そんな彼女に挨拶を返しながら名を呼ばれた、ギルバート・モンステラは微かに笑みを浮かべたようだった。

ようだった、と言うのは微かに口角が上に上がったように見えた以外、彼の表情が全く伺うことが出来ないからだ。


「ギル、いつも言っているだろう?その前髪を切ってしまえって」


「君は優秀なのに、その表情が見えないせいでいつも遠巻きにされているじゃないか」


そんな彼の様子にマクルスとルピナスが嘆息交じりに言う。しかし、ギルバートはそんな二人の言葉に首を横に振った。


「僕はこのままでいいんです。人目につくのは好きじゃありませんから」


「人目につくのがお嫌ですのに、生徒会長を引き受けてくださいますの?」


レティーナは三人のやり取りに首を傾げる。

ギルバートとは同じ公爵家の人間として幼い頃から何度か顔を合わせたことがある。モンステラ家の当主は現国王の弟。彼はハイドライドや王太子の従兄弟に当たる。その為、王家と繋がりを持ちたがる貴族たちに群がられてはそれを鬱陶しそうにしていたのをよく覚えていた。


「ええ。それで貴女の役に立てるのでしたら。それに、僕としてもハイドライドに生徒会長にはなって欲しくありませんしね」


苦笑交じりにそうギルバートはレティーナに返した。


「僕たちとしても、学園で人気の高いラナンキュラス嬢を生徒会長に出来ないなら、せめて、それなりの人物になってもらわないと困るしね」


「その点、モンステラは公爵家の嫡男で、殿下たちとも従兄弟同士。それに君には殿下と同じように王位継承権もあるしね?」


「あると言っても、第五位ですけどね。ハイドライドはともかく、他の王子方は優秀ですし、僕には関係ないですよ」


マクルスの言葉に苦笑を滲ませながら、ギルバートは返した。


「それでも君に生徒会長になってもらえれば、こちらも一応の体裁は保てるんだ。だから、申し訳ないけど、よろしく頼むよ」


「仕方ないですね。まぁ、彼女が矢面に立つよりは僕の方がまだマシでしょうから」


ギルバートは諦めたようにマクルスとルピナスの言葉に頷いた。


「と、いうわけだから、君には副会長として彼を支えてもらえるかい?」


言葉は疑問系だが、決定事項なのだろう。レティーナは渋々ながら彼らの提案に頷く事しか出来なかった。


「そんな不服そうな顔をしないでくれ。第五位とはいえ、王位継承権を持つモンテスラと王家と懇意にしているラナンキュラス家の令嬢が生徒会に所属してくれれば、殿下を会長にしなくても取り合えず体裁は保てるだろうって言う学園側の意向なんだ」


レティーナの様子に苦笑を浮かべながらマルクスは言った。


「その代わり、もう1人の副会長と会計、書記の人選は君たちの好きにしていい」


「面倒事を押し付けるんだから、せめてこれくらいの譲歩はしてもらわないと割りに合わないだろう?」

 

そう言ってマルクスは片目を瞑って見せた。

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