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決闘を申し込まれました。3

「レティーナ・ラナンキュラス!」


翌日、昼休みにリリアーナやプリシアたちと共にカフェテリアで食後のお茶を楽しんでいたレティーナのもとにハイドライドが将来の側近という名の取り巻き二人を連れてやってきた。

彼はレティーナの名を声高に呼ぶと彼女に向って白い何かを投げつけてきた。


レティーナはそれがなんであるかを確認しつつも、まだ手に取ることはしない。

ただ、呆れたようにハイドライドに視線を向けた。


彼女の足元には彼が投げ付けた白い手袋が落ちている。


そう、白い手袋。


貴族の間で手袋を相手に投げ付けるのは決闘の申し込みを意味する。そして、それを拾えば相手がその決闘を受けるという意味になるのだ。

ちなみに、白手袋で相手の顔を叩くのも決闘の申し込みとなる。


午後の穏やかな喧騒けんそうに包まれていたカフェテリアが異様な静寂に包まれる。そしてそのあとはザワザワと先ほどとは打って変わったざわめきとこちらに向けられる好奇の視線。


「…私闘は禁止されているはずですが、それでもおやりになりたいのですか?」


レティーナは呆れを滲ませながらハイドライドに一応確認する。


「ふん!禁止など上辺だけで実際はやっている奴なんていくらでもいるだろう。やはり女だな。私と決闘りあうのは怖いのだろう」


馬鹿にしたように返してくるハイドライドにレティーナは更に呆れながら足元にある手袋を拾い上げた。


「そちらの二人が殿下の介添え人ですね?では、私も誰か頼んでまいりましょう。それから、証人には公平な判断のできる方にお願いいたしましょう。それと、もう一つ…」


そこで言葉を切ってレティーナはハイドライドを見据えた。


「もし、殿下が怪我をなさっても罪にはもちろん問われませんわね?」


「あ、当たり前だろう!介添え人が決まったら詳細を決めるからこちらに寄こせ!行くぞ、二人とも!」


そう言ってハイドライドは取り巻き二人を連れてカフェテリアを後にした。


「女性相手に決闘って…何を考えていらっしゃるのかしら?」


「何も考えてないと思うわよ?」


呆れたように言うアイリスにこちらも呆れたようにレティーナは返した。

リリアーナはおろおろとレティーナの方を心配そうに見ている。


「そんなに心配そうな顔をしなくても大丈夫よ。」


それから、プリシアとアイリスに顔を向ける。


「介添え人は二人にお願いしてもいいかしら?」


「いいわよ。なんせ、あちらの介添え人がアンスリウム様とコランバイル様ですものね。詳細の話し合いだけでもあちらに有利なようにされてしまいそうだもの」


そんなことはさせないと言ってアイリスとプリシアはレティーナの介添え人役を快諾してくれた。


「問題は誰に証人を頼むかじゃない?」


「学園長…は殿下に有利な判断をしてしまいそうだし…」


「心当たりがあるから、その方に打診してみるわ。きっと最善の方を紹介してくださると思うし…」



それから3日後、二人の決闘が行われることになった。

場所は王宮にある騎士の訓練所。そこには定期的に騎士団内で行われる試合を観戦できるようにした場所がある。


二人の決闘はそこで多くの観衆の前で行われることになった。


レティーナの介添え人のプリシアとアリシア、ハイドライドの介添え人のアンスリウムとコランバイル

は証人の左右にそれぞれ分かれて座っている。


そして、この決闘の証人はまさかの国王陛下であった。


まさか陛下が出ていらっしゃるとは思わなかったわ…。会場の中心、ハイドライドと向き合う形で立っているレティーナは内心溜息をついた。

確かに陛下ならたとえ息子でもそこに私情を挟んだりすることなくこの決闘を見届けてくれるだろう。


「これより、ハイドライド・アウストロメリア、レティーナ・ラナンキュラスの決闘を始める。両者のどちらかが戦意を無くす、或いは怪我をするまでこの決闘は続けられる。尚、武器への付与魔法は認めるがそれ以外の攻撃魔法は禁じる。もし、それを破った場合、破った者を敗者とする。それでは、始め!」

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