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決闘を申し込まれました。1

このまま、平穏?にすめばなんて思っていたけれど・・・。

まぁ、そんなに都合よく行くわけなんて無いのよね。


さて、目の前で鼻息荒くこちらを睥睨してくるハイドライド殿下・・・。

そろそろ、伸していいかしら?


数日前。


レティーナは放課後、1人で訓練棟から戻ってくるところだった。

週に何度か放課後、訓練棟の一室を借りて剣の訓練や攻撃魔法の訓練をしているのだ。

これは、幼馴染で乳兄弟の二人以外の生徒は知らない。


さすがに学園の施設を使っている為、教師陣や学園長は知ってはいるが・・・。


その日もレティーナはいつもの様に剣の訓練を終え、寮へ戻るところだった。

下校時間もとっくに過ぎているこの時間帯なら誰に見られることもなく心置きなく剣を振るい、それに魔力を乗せることができる。


廊下にはレティーナの歩く足音だけ。


早く戻らなければプリシアに怒られてしまう、と急いでいたレティーナの耳に微かに誰かが言い争っている声が聞こえた気がした。

立ち止まり、耳に魔力を集中させその声のする場所を探る。


レティーナは拾い聞こえた声に表情を険しくした。

声が聞こえたのは今彼女がいる場所より少し離れた教室の一つ。

足音を消したまま急いでその教室の前まで行き、扉を開けようとしたがビクともしない。


レティーナは小さく舌打ちをして(令嬢としてはよろしくないが)、扉に手を当てると中の様子を探る。

どうやら、教室の内側全体に結界を張ってるようだ。


結界を張っているのに声が漏れないようにしていない辺り、ツメが甘いわね。


まぁ、そのおかげでレティーナが異常に気付けたのだから、良しとしておこう。


レティーナは扉に当てた手のひらに魔力を集中させる。

こんな結界を破ることくらいは簡単だが、出来たら術者には気付かれないように破った方がいいだろう、と結界が溶けて消えるイメージを浮かべる。


まるでシャボン玉が割れるような微かな気配のあと、結界はキレイに消えた。


普通なら自分の結界を消されたら気付くものなのだが、術者は他のことに気を取られていてそれどころではないのだろう。


王族だからといってなんでも許されると思ってるんだから、質が悪いわね。


そっと開けた教室の中、扉に背を向け誰かをその腕の中に捕らえているハイドライドの姿に嘆息する。


ハイドライドは入ってきたレティーナに気付くこともなく腕の中に閉じ込めた少女を懐柔しようとしていた。


「リリィ、何故レティーナなんかと一緒にいるんだ。何か気に障ることをしたなら謝るから僕のところに戻っておいでよ。君が好きなのは僕だろう?いつまでも意地を張ってないで、仲直りしようよ」


そう言って、ハイドライドはリリアーナを顔を無理やり上向かせる。

嫌悪と怯えに揺れる瞳がレティーナを捉えた。大きく開かれた瞳に、レティーナはそっと唇に指を当てて声を出さないようにと伝える。

そんな二人のやり取りに気付かないハイドライドは上向かせたリリアーナの顔を覗き込んだ。

そのまま、リリアーナの唇に己のそれを近づける。


リリアーナはそんなハイドライドにさらに青ざめ、思わず目を瞑った。眦から一筋、涙が頬を伝って落ちた。


しかし、いつまで待っても想像していた感触に襲われることがなく、リリアーナは恐る恐る目を開けると後から口元を押えられ、自分から離されたハイドライドの姿があった。


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