ギロチン
腕時計を見ると、時間はいつの間にか夜6時になっていた。
勉強や部活で随分疲れたな……。
あまり遅くなると親が心配するし、早く帰ろうと急いでいたその時。
「白沢先輩」
「章一! 早く帰ったんじゃなかったのか?」
「ええ。あなたに、折り入って相談があるんです」
この時の章一は、心無しかソワソワしているように見えた。
よほど重要な話なのだろう。
「それで、相談って何だ?」
「実はですね、僕は悩んでいるんですよ。それを解決するために白沢先輩にも協力していただきたいんです」
「そうか。俺にできる事なら何でも協力するぜ」
「それは良かった。では、早速……」
「うあっ!!!」
何だ何だ!?
章一はいきなり俺の首筋に何かを押し当てた。
頭の中が真っ白になり、意識が遠のいていく……。
「っん……」
「気が付きましたか?」
気が付いたら俺は、見慣れぬ部屋の中にいた。
そして、妙に手を動かせないと思ったら、抵抗できないように両腕を後ろに縛られていた。
「ふふふ……悩みというのは、良い実験台がなかなか見つからなかった事なんですよ」
章一はニヤニヤと唇を歪めると、俺を窓の方へ引きずって行った。
実験? 一体何をするつもりなんだ!?
「僕の実験、それは『人間の首を窓に挟んだら切れるのか』です。あなたが一番最初の実験台に選ばれたんですよ。嬉しいでしょう」
「はぁ!? 何言ってるんだ!!?」
「何でも協力するって言ってたじゃないですか。さようなら、白沢先輩。天国でまた会いましょう」
「章一、やめ…………がっっ!!!」
章一が窓を勢いよく閉めると、首が完全に挟まって身動きがとれなくなる。
これまで感じた事のない激痛と共にメキメキと嫌な音がして、やがて俺の首は切断され、そのまま下へ落ちて転がっていった。
死ぬ間際に聞こえたのは、章一の心底楽しそうな笑い声だった……。