表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

リパラオネ教と偶像崇拝(1)

ぱっと考えついたことは、金アマルガム鍍金の話だけだったのに面白くて書き連ねていたらこんな感じになってしまっていた。

 リパラオネ教では偶像崇拝はピリフィアー暦8世紀に禁止された。この禁止への流れは当時の教法学者のフィシャ・ヴェラティヤ(Fixa.velatija)は頻発したこの変死が偶像の製作者やその家族、友人に頻発していることを突き止めたことに始まる。

 偶像を製作する行為自体が変死に関係しているとして、教法学的な解決を行うために知人の教法学者と末端フィアンシャを集結させてヴェラティヤ教法会議を興した。858年、ヴェラティヤ教法会議は最終的な原因解明として以下の通りに発表した。


1. 頻発した変死は、偶像を製作または崇拝するものに頻発している。変死の原因は偶像の製作と崇拝であると断定できる。

2. 偶像崇拝の禁止は教典より教法的に導くことが可能であった。

2-1. フィアンシャン#4に基づき、偶像の製作者は偶像をアレフィスの実体であるとリパラオネ教徒を騙した。偶像がアレフィス実体でないことはアンポールネム#1.2に基づき、我々が暮らす世界にアレフィス実体が直接的に影響を及ぼせないことからして明確である。

2-2. 偶像の崇拝者は偶像をアレフィスの実体であるとして信仰した。このためにフィアンシャン#13またはアンポールネム レチⅡ-6-1に基づき、該当者はアレフィスとレチの契約から脱し、アレフィスの怒りによって死亡した。アレフィスが怒りによって人を殺した実例はskyl.1:19にあり、ファシャグノタールの[CO-TST1-2-2^5]以降にも書かれている。

3. 変死は教法を知らなければならない教会が信仰指導することで未然に防ぐ事ができた。変死発生地域管轄教会は「信仰深い者は必ず救われる。アレフィスの元では人間に上下は無い。間違えた導き手は裁かれるのだ。」(Skyli'orti'e1:10 5:1^3)に基づき、変死した者が属する家庭が生活困窮に至らないように補助しなければならない。

4. 補助命令に違反した変死発生地域管轄教会はフィシャ・フォン・フィアンシャの管轄から外れることを当地で公示する。


 ちなみに、「フィシャ・フォン・フィアンシャの管轄から外れる」とはリパラオネ教会であるフィアンシャの最頂点にいるフィシャ・フォン・フィアンシャの助力が受けられなくなるということであり、当時のリパラオネ教会が支配する社会からの事実上の排斥を意味している。当時の教会支配は弱小な末端フィアンシャはフィシャ・フォン・フィアンシャの権威を借りてなんとか権力を持っていたのであり、権威が持てなくなることは統治権力を剥ぎ取られることと同義であった。


 こうして、教法会議を経てリパラオネ教で「偶像崇拝の禁止規定」が教法学的に規定されたのであった。この教法会議の決定に基づき長年リパラオネ教会では偶像崇拝をリパラオネ教として行うことを異端(リパラオネ教の用語では「諸流派」)と見做してきた。

 時代は下って800年後、16世紀に活躍した考古学者のエスポーノ・ドーハとその研究チームはデーノ・ラネーメ国境付近の遺跡の調査によって発掘した偶像に金アマルガム粒子の残留物があることを発見した。これによってこの時代から偶像に金アマルガム法による鍍金がなされたために偶像を作る聖職者や大工などに水銀中毒者が多発したのであろうとして著書『アマルガム鍍金説』で発表した。これによって、上記の教法会議での偶像崇拝禁止規定は揺らいだ。


 改革派リパラオネ教法学者であるスクーラヴェニヤ・ティイェティヤ(Skurlavenija.tijetija)は「神ではなく物理的に自らの過失によって自己を死に至らしめたという事実は、偶像の製作・崇拝とは関係ない。ヴェラティヤ教法会議の宣言は根拠がなく無効である」とした。また、「偶像はその時代の文化・芸術的価値を残しており、研究的な価値があること」や、「偶像自体を信仰しているのか・偶像を通して神国のアレフィスへの想起を強めているのかは立証が難しい」と主張した。また、ティイェティヤはこれに加えて「アレフィス偶像や神族偶像の利用は神国への存在へと意識を強く向けるのに有用であり、生まれ育った世界を物差しとして計る我々がそれらを用いずにアレフィスについて祈ったり、想起したりしてもそれは自ずと偶像崇拝になるのであり、それは人類がリパラオネ教を信仰し始めてから長らく行われてきたことで、ヴェラティヤ教法会議に沿うとアレフィスに罰されるはずが、我々は罰されずに居るので教法学的犯罪とは成りえない。」と主張した。これらをまとめて、ティイェティヤの神的想起記号説(Tijetija'd tonirretisodrenejt ad akraptera)と呼ぶ。

 ヴェラティヤ教法会議の否定から、ティイェティヤの神的想起記号説の提唱によって近世リパラオネ教社会は偶像崇拝の意見が二分していく。

 次の記事では、近世リパラオネ教社会での偶像崇拝にまつわる論争を追っていきたいと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ