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自殺を考えた日

作者: にゃらふぃ

 20XX年4月X日、私は高校を卒業して就職した。就職先は土建関係だ。

 高校の就活の時、私は筆記試験を受けるのが嫌で面接だけのところを探していた。1、2社ほど会社見学をして3社目くらいで、その土建屋を見付けた。


 会社見学をしてみて社風はよく分からなかったが給料は良かった。それに見学をしに来ただけなのに採用の話をしだす始末。


 私はそこに決めた。友人が一生懸命になって就活する中、私はその土建屋の面接に行って合格した。

 半年間、私は遊び惚けた。それが人生の踏み外しに気が付かぬことを知らずに。

 就職して1、2週間ほどは作業に慣れるため社長の下で座学や研修を行った。毎日暇で眠かった。1日中同じことの繰り返しなのだ。だがそれは束の間の休息みたいなものだった。


 ある時、社長の身内が危篤に陥り別の社員と働くことになった。その人はYさんというのだが、かなり厳しい方だった。

 暴言や殴る蹴るは当たり前、時には道具で殴ってきたりもした。でも勤務外は穏やかな人だ。

 私の働いていた土建屋は結構命を掛ける仕事が多かった。それ故、勤務中、ここでいう現場でキツく当たるのは仕方ないと割り切った。


 そんなこんなで1ヶ月くらいして初任給を貰った。幾らだったか覚えていないが結構良かったと思う。多く貰ったときで総支給額が28万円くらい。手取りで25万円ほどだから、高卒を考えると美味しいと思う。

 でも幾ら給料を貰っても精神的に極限まで追い詰められてた。


 あの時のことは今でも思い出す。私は自殺を考え始めたのだ。


 直ぐに辞めれば良かったのだと思うが家族のことを考えたりして中々言いだせなかった。それに内気でシャイな私は言う勇気もない。ただ妹だけにはそれとなく言っていたのを記憶している。


 当時、パソコンを持っていなかった私は携帯電話で自殺の方法を検索した。因みにその携帯電話は今も使っている。この話を書くために。


 通勤中も、あのトラックにひかれれば死ねる、などと思っても飛び込む勇気は無く、結局会社に着いてしまう。そして罵声と暴力によって削られる精神は日に日に自殺を邁進させる。


 やはり、自殺するなら首吊りか。そう思って色々と準備をする。場所を決めたり、道具を決めたり。

 そうして実行するか迷っていた時だ。研修の一貫として幾つかのメニューを出された。

 同僚が軽々しくこなしていく中で私ぐらいが出来ないでいた。そしていつものように罵声を浴びせられる。


「出来なきゃ帰さない」

「出来なきゃ辞めちまえ」


 同僚は応援してくれるがやはり出来ないものは出来ない。そして結局出来ないまま就労を終えた。

「明日も出来るまで、ずっとやらせるからな」


 もう嫌だ。死のう。


 自殺実行前夜の記憶は良く覚えていないが当日は今でも忘れない。


 あれは雨が私の心のように弱く降っている日だった。

 朝起きて、いつも通り母親に挨拶をして、朝食を取って歯磨きをした。そして気付かれないように鞄の中へ延長コードとトラロープを入れた。ちょっと緊張した気がする。

 通勤は雨が降っていようとも自転車で行くため、カッパを着て準備する。そして何食わぬ顔で私は母親に最期になるであろう会話をした。


「行って来ます」

「行ってらっしゃい」


 そう母は返すと私を見送ってくれた。

 内心、さようならと思っていつものように会社へ行く道を進む。しかし行き先は会社ではない。

 暫く進んで家から離れると土手の方へ進んだ。

 子供の頃に良く遊んだ川原の近くで死のうと思った。そこは竹藪があって人があまり近寄らないところだからだ。


 人の迷惑なんて気にしない。その時の心境はそんな感じだった気がする。


 私は道の端に自転車を止めると少しばかり行ったところで崖下に回る道へ入った。その時、誰かに見られないよう用心した記憶がある。幸い、朝早く7時くらいだったため人通りはまったく無かった。

 下へ降りると竹藪の奥へ進んだ。丁度良い高さくらいの木が立っていた。


 私はカバンから延長コードとロープを取り出した。そして木に攀じ登る。するとどうだろう。何故か涙がこぼれ落ちた。


 母親や父親や妹、祖父母、ペットのことを思い出したのだ。鼻水を垂らしながら私は泣いた。

 もう、死ぬ準備は出来ているのに。


 死ねないのだ。


 死ぬ、あと一歩が踏み出せない。


 死ぬ覚悟を付けるため、自分で首を絞めたり、ぶら下がったりした。でも勇気が出ない。


 何故、死ねないのか。死にたいのに、そう思っているとすぐ近くで老人と子供の声が聞こえた。

 私は驚いて身を潜めた。見付からないように祈っていると死ぬ気が無くなったのか、良く分からないがその場を離れようとする。


 道具を片付けで一目散にその場を去る。そして自転車を残して帰路に発った。


 家に帰ると父親は出勤し、妹も学校に行って母親だけがいた。私の姿に驚いた様子だ。


 私は一言口にした。

「死ねなかった」

 そして、また泣いた。


 母親はポカンとしていたけど一緒に泣いた。その後の記憶は曖昧だけど、出勤してこないから同僚を通じて連絡が私の携帯電話に掛かってきた。けれど母親が代わりに出て貰って事情を説明する。


 その後、お互い落ち着いて来てなんやかんやしていると同僚が心配してやってきた。そして辞めるなら今すぐ言ったほうが良いって言ってきたけど私は辞めないと口にした。


 そして同僚の車に乗っかって会社に向かった。


 それからというもの、Yさんは心なしか優しくなった気がする。気がする。


 自殺未遂をしてから約半年ほど仕事を続けて辞めた。


 Yさんは定年退職を迎え、別の社員と仕事を始めて、またその社員が厭味を言ったりしてきて嫌になって辞めたのが理由だ。プライベートにまで口を挟んでくるその人はYさんの比ではなかったからだ。


 結局、Yさんに挨拶する間もなく辞職してニートになった私は、暫く稼いだ金で遊んだ。そして1年後にアルバイトや派遣社員を経て契約社員になり、数年働いた。


 過去形の理由はまた辞めたからだ。理由は労災を起こして人間関係が縺れたから。

 そして今はニート。クソみたい人生を送っているクソニート。


 最近、また死にたいと思い始めているのだった。

 何となく書きたくなって書いた半分実話です。誤字脱字、わけの分からない文法や文章、改行過多などは大目に見てやって下さい。本職じゃないので……。


 数年前に経験した私の自殺未遂を少し変えた仕上がりになっています。身バレが怖いので。


 まぁ結局、自殺する勇気が無かったわけなんですが、これだけは言えますね。


 自殺は止めたほうが良い。すんごい迷惑が掛かるし、すんごく悲しむから。伝わらないかもしれないけどね。


 あの時に老人と子供が来なかったらどうなっていたんだろう。そして、何故朝早くあの場にいたのだろうと、色々考えさせられます。


 不思議ですね。本当に不思議です。


 最近、また嫌になって死にたいと思い始めています。もしまた経験したらここに記そうと思います。記されなかったら死んだか、実行しなかったかと思ってください(笑)


 最後に、次自殺しようとするなら投身が良いかもしれないですね。だって致死率高いじゃないですか。


 えっ?何?聞こえないです。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。皆様、倖せな人生をお過ごし下さいね!


ノシ

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