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第3話 二ノ宮高校野球部始動!

古谷と会ってから1週間はまったく部活がなく、俺達は毎日投げ込みをした。

あいつはなかなか上手く、構えもゆったりしていてすごく投げやすい。

いつもとそんなに変わらない投げ込みだが、なにか感覚が違いすごく投げるのが楽しかった。



それから1週間後、ようやく部活が始まった。

人数は9人ギリギリ。

見たところ野球をやっていた奴はあまりいない。


しばらく部室で待っていると顧問の川本先生が2人の人物を連れてきた。

2人とも野球とは縁遠そうな人で、1人は若い女の人でもう一人はどこにでもいそうなおじいちゃんだ。

全員が一体誰?という顔をするなかで先生が話し始めた。


「このお二人はうちの高校の新しい監督とコーチになって下さる方達だ。ちょっと自己紹介をしてもらおう。すいません、監督からお願いします」


するとおじいちゃんの方が前に出てきて、


「わしがこの高校の監督になる、横道忠雄よこみちただおじゃ。今年で84歳になる。しかしまだまだ現役じゃよ、そんなに心配せんでもええけんの(心配しなくてもいいからな)」


唖然としていた俺の顔を見て一言加えた。

俺は慌てて顔を引き締める。

しかし横道監督といえば名監督中の名監督。

尾道工業高校を率いての春・夏・春の3連覇をはじめ三原工業高校・忠海水産高校などで春5回、夏4回の優勝を誇り、野球王国広島の全盛期を築いた、とか親父から聞いた。

だがそれはもう30年以上前の話。

確かとうの昔に引退しているはずだ。

それを今更引っ張り出して監督にするとは…。

はっきり言って野球がどうこうより体のほうが心配だ。


そんなことを思って見ていると監督の後ろからもう1人が出てきて、


「私は横道和美よこみちかずみ。横道監督の孫で、ここの英語の先生。監督のかわりにノックとかは川本先生と私がやるわ。女だからって心配しなくても大丈夫よ。これからよろしくね」


真っ先に思ったのはきれいな人だな…ってことだ。

運動していたようで体はすらっと引き締まっているし、顔も美人。

声も透き通っているような感じだ。


「和美は3年前のアテネオリンピックの女子ソフトボール日本代表におったけぇ(いたから)、お前らよりも上手いから大丈夫じゃ。もっとも、肩壊してるからソフトはできんがの」


ああ見えてもなかなかハードな経歴の持ち主だな、と思った。


「さて、それじゃ俺も一応自己紹介しておこう。俺は川本仁かわもとじん。お二方と違って特にこれといったこともないが、野球は一応小学校からずっとしていた。甲子園は決勝で太田実業に負けて出れなかったが、お前達が俺を連れて行ってくれ。一緒にがんばっていこう」


川本先生が最後に自己紹介をした。


「うむ。それではこれから早速練習に入ろう。わしは鬼監督ではないがそれなりに厳しい練習はするけん、しっかり着いて来いよ」


監督が楽しそうに言う。

全員返事を返し、用具を持ってグランドに向かった。

部室を出るとき古谷が、


「なかなかすごいメンツだな。」


と声をかけてきた。

まったくだ。

こんな学校でいくら歳を取っていたりや肩を壊しているとはいえあんな監督やコーチに指導してもらえるなんてまったく思わなかった。

これならまだ甲子園にいける可能性はある、手の届かないとこにあるわけじゃない、本当にそう思った。



しかし、あの監督がさせた走りこみのゴールは本当に遠かった……




遅くなって申し訳ありません。パソコンがどうも不調でして…。これからも不規則な更新となりそうですがどうぞよろしくお願いします。

あと、広島弁に今回は一応注釈を入れました。自分は広島出身ですのでなんとも思いませんが、他県の方はどうでしょうか?その点なども是非感想と一緒に書いていただけるとありがたいです。皆さんのご指導をお願いします。

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