世界を変える可能性。価値が「あるか」「ないな」
「兄ちゃん、奴隷は必要ねぇんじゃねぇか?」
奴隷商のオヤジは、今の現状が羨ましそうに訪ねる。
「いいだろ?別に、それに俺は客だぞ?」
客を帰らす店ってなんだよ。
「へいへい。で…ご予算は?」
「コレで何でも、買えるだろ?」
そう言って王白金貨を1枚を出し、オヤジに向かって弾く。
「おっと、てか一枚かy…。お、おおお王白金貨…。おい、嘘だろ?国すら買える金額だぞ?」
「分かったなら、さっさと奴隷を見せろ」
「兄ちゃん、悪い。すまん。奴隷買った時のお釣りがないんだが…」
「釣りなんか、要らんよ。金なら幾らでもあるしな…。それより、処女の奴隷を頼むわ」
「おい、兄ちゃんいいのか?それと、兄ちゃんの背後が黒いんだが…」
あぁ、俺も気づいてる。コウキがカオスモードに入ってる事は……。一人で、エグい事を言ってる気がするが…。あくまでも気がするだけだ。俺は、そう信じてる(今も)
「問題ねぇよ」
「わ、分かった」
そう言って、今いる奴隷を全員を連れて来た。
「悪いな、兄ちゃん。今は、年寄りしかいないんだ。最近は…」
連れて来られた奴隷は、全員40代ぐらいだ…。顔的には、まだいけるが…。
「他には居ないのか?」
「あ、ああ。」
ダウトだな。だが、訳ありってとこか。
「訳あり商品が有るみたいだな?」
奴隷商のオッサンは、何故分かったという顔だ。舐めるなよ神を…。
「……。」
「オッサンさぁ?嘘吐く相手は慎重に選んだ方がいいぞ?な?な?」
威圧(5%)を放ち言う。そして顔は、少し笑ってみせる。しかし、目は笑わない。
「あ、あ…ぁぁあ。」
膝は、ガクガク。口は、歯でガチガチ鳴らしている。恐怖で気絶しそうだね。
「へ、ん、じ、は?」
「は、はい。で、ですが地下に…」
「なら、行くか」
「い、いえ。そんな訳には…」
オッサン、少し丸くなったか?敬語になってるぞ?なんか、あったのか?
えっ?お前の所為だろって?違う。商売と長生きの秘訣を教えてやっただけだ。
「何だ?行っちゃダメなのか?」
「いえ、お客様にご足労頂くのは…どうも…」
「気にするな、それより案内…。まっ、そういう訳だからお前ら此処で待っててくれ」
「分かったぜ、ご主人」
反応したのネビだけだった。何故だろう?一人は、いいとして…ヘルは?あっ、なんか花もってる。花弁を千切りながら「好かれる」、「嫌われる」、「好かれる」、「嫌われる」と花を千切りながら交互に呟いている。うん。見なかった事にしよう。
「か、畏まりました。此方です」
そう言って、地下(奴隷の部屋)へと案内され階段下りる。結構、段差があるな。それに天井が低い、頭を下げないと頭ぶつけそうだ。そんな、事を考えていると広い空間にでる。まるで、刑務所だな。檻の中で、生活してるらしい…が、さっき奴隷を出したので檻の中には誰も居なさそうだ。
「此方です」
そう言い一番奥へと案内される。そして、一つの檻に通された。
「この者です」
檻の隅で、正座していて頭の上に耳が付いている。キツネの耳か?そして、フワッとしてそうな尻尾が生えている。目は前髪で隠れている。ステータスを一応。
status…_____________________________
【Race】 九尾狐族 (変異種)
Name (無し)
Age 260
Attack 30
Defense 80
Tittle
伝説の九尾狐族の末裔
____________________________________
「この獣人は、処女ではありますが顔は火傷。戦力にもなりません。正直…」
顔に火傷か…。ふんっ、そんなの神の力でどうにでもなるわ。
「決〜めーた、コイツ買うわ」
「よ、宜しいのですか?此奴は、役に立つとは思いません。他の方を…」
「なぁ?九尾狐族って獣人扱いなのか?」
その言葉で、オッサンは動揺し始めた…。
「此奴が、きゅ、九尾狐族と言いたいですか?ですが、ステータス的に…」
あっ、普通は種族を見る事出来ないんだっけ?、 俺だけ優遇されてるっていいねぇ…。
「あぁ、間違えないだろうな。戦力にならない理由は変異種で片付く」
「へ、変異種で御座いますか?」
「あぁ、其れだけで価値は上がるんじゃないか?」
神の造ったステータスで表示されてるんだ。間違いない。正直、運営がゲームのステータス画面を見てる様なもの。当然真実なはずだ。
「どうする値段上げるか?」
「い、いえ。滅相も有りません。ですが、本当に宜しいのですか?例え、九尾狐族の変異種だとしても王白金貨程の価値は『あるな』なi…?はい?」
「確かに、其処いらの連中が買ったとしても価値はない。が…俺が買えば、世界を変えられる程の価値を見いだせる」
「……。」
オッサンは、「そんなバカな」って顔だが…。俺だから出来る事である。
「直接、話す事は出来るか?」
「も、勿論で御座います」
オッサンは、檻の鍵を開けて中の奴隷をだし。
「お前の御主人様になる可能性が高いお方だ。もう、チャンスは無いと思った方がいいぞ」
「……。(こくり」
そして、俺の方をじっと見る。
「面会室は、此方です」
そう言って部屋に通される。部屋には、大きいソファがある。
「私めは、部屋の外で待機しておりますので。何かあれば」
「分かった」
オッサンは、部屋のドアを開け出て行った。それを確認した後。ソファーに腰をかけ足を組む。そして、立たされている目の前の九尾狐を改めて観察する。髪と瞳は金色。肌は、純白。頭の上の狐耳と尻尾がふさふさしてる感じ。身長は、それなりにありヘルより少し高いぐらいか…。
「九尾狐族が、何故此処にいる?」
此奴は、名前が無いので種族で聞いておく。
「………。」
黙りか…。いや、喋れないに近いな…?あっ、歳的に喋り方が…って事か。神界でも、こういう系はよくある事だ。防音しとくか?それに、話しの内容は聞かれて欲しくなさそうだしな。指を鳴らす。コレで良し。
「今、防音にしてやった。で、理由は?」
「………。」
黙りかよ。たっく。
「二百年、生きると喋れなくなるのか?」
「!!」
おっ、反応したか。
「器用に喋ろうとしなくていい。年寄り臭い喋り方でも、九尾狐族の喋り方でも構わん。喋り方で、【買わない】って事はしない。だが、無言は止めろ。な?」
少し、驚いた顔をしたが…
「ほんまか?」
そういう事か。あのオッサンが「喋ったら、売れ残るぞ」と脅してやがったのか。防音にして聴かれない事、喋り方を気にしない事が分かったら喋ったしな。確かに、喋り方は独特ではあるが…
「あぁ。そんで、理由は?」
「…。あては…、九尾狐族には、ある筈の九つの尻尾が一つしかあらへんのや。それに、力も劣ってはる。それ原因で、皆から虐げられたんよ。顔の火傷もその時、付けられたものや。それなりに、戦闘行為はしたんやけど結局、九尾狐族の恥晒しになっしまって。そんで、売られたんよ」
「詰まり、不良品って事か?」
「…そう、言われても…しゃあなし…やな」
口を噛み締めている。悔しいのか?そうなのか?そうみたいだな。いいね。凄くいい。
「質問していいか?」
「なんやろか」
「自分を売った、九尾狐族を今はどう思ってるんだ?」
「…正直、思い出しただけでも腹が立つよ。殺してやりたいと思ったこともある。あてだけ、名前を貰えへんかった。それが、今でも悔しゅうてな…クッ。しかしのう、あては無力やて。逃げることしか結局のとこ出来ひんかったわ。ほんま、臆病もんやであては…(ケラケラ」
「もし無力じゃなくなるとしたら如何する?」
「おもろいこと言いいはるなぁ、あんさん。せやけど、少しでも強くなれるなら、何でもするんよ。(ケラケラ」
ケラケラ笑っているが目は決して笑ってはいない。面白い。実に面白い。
「じゃあもう一個、お前の喋り方は色々と混じってないか?若干だが、言葉がかみ合ってない。」
「ふふ、あんさんはよく気づきはったなぁ〜。せや、あての喋り方は色んなんが混じっとる。獣人の国に行ったことがあってな。そん時に、色々混じってしまったんよ」
獣人の国…、地域で方言が変わっている為、言語が分かりにくい。唯一、この世界で方言がある国でもある。
「すまへん」
「別に謝んなくていい。しかし、喋り方は独自になってる訳か…」
「そうなりはるな」
「イイねぇ〜、最高だわー。マジでいいわ。超超超超超超超超ーーーーうイイわぁぁーーーーーーーーーククク、ウハハハハハハハ」
「!?」
九尾狐はキョトンとした顔でこちらを覗く。
「悪りぃ〜悪りぃ。」
そう言って頭を強くワシャワシャする。九尾狐を一瞬、ビクッとしたがそのままワシャワシャされている。
「さてと、お前を買うとするか」
すると、九尾狐は「えっ?」と言う顔になる。
「気に入った。超気にった。喋り方も良いし。顔も良いし。戦力的にも問題ない」
指を鳴らし防音効果を消す。そして、外に居たオッサンを呼びつけ。
「コイツを買う。王白金貨20枚だ。それと此処にいる奴隷全員、王白金貨5枚で解放してやれ」
九尾狐とオッサンは、目を見開き…
「よ、宜しいのですか?私めは、王白金貨1枚で充分でかと思うのですが…。それに、此処に、残ってる奴隷を合わせても白銀貨に届きません。多過ぎます」
「せや、あんさん。あてを其れ程評価してくれはるのは嬉しいんよ。せやけど、あてにそんな価値はあらへん。せやかr『うっせーよ、てか黙れ』」
無理やり黙らせる。
「オッサン、客が良いって言ってんだよ。それ以上突っ掛かってくんな。それと九尾狐、勘違いすんな。テメェの価値は、俺が決めるのであってお前じゃねぇ。自分の価値を自分で決めんな」
「申し訳御座いません」
「ほいよ」
オッサンに王白金貨24枚を渡す。1枚は、オッサンが持ってる。
「奴隷の刻印はどうしますか?」
「いらん、こいつが有るしな」
首輪を取り出しす。そう、この日の為に作った首輪(穴は5つ)。素材は、天使の羽に神龍の鱗、俺の髪を1本で錬成し造ったものである。「欲しい」と天使や神龍に言ったら「デートしてくれるならあげる」と高い代償を払った。「死ぬ訳じゃないし、かすり傷程度だろ?それぐらい、タダでよこせや」と思ったが言える筈も無かった。だから、この首輪は最高級品で価値などつけられないな…うん。
えっ、何で俺の髪を入れたって?まぁ、血の契約に近い奴かな。単純に、俺以外は外せないとか…。危険になった時に気付く事が出来たり。後、俺に攻撃出来ないようにする為かな?それ以外にも色々搭載させた気がするが覚えてない。思い出すが面倒なだけだが…。
「ジッとしてろよ?」
九尾狐に首輪つける。少し、苦そうだが心配要らない。首輪は、着けている者の首の大きさで大きさが変わる。少しキツく締めても後で自動的に調節されるって訳。なっ?凄いだろ?
「じゃ、戻るか。商人?」
ネビ達を待たせてるしな。早く戻らねば…。
「は、はい」
奴隷は、買った。お披露目タイムといきますか?
ネビ達のとこに戻って来た。
「もう〜、遅いよ〜」
「ご主人、待ってたぜ」
「そこに居るのが、影縫くんが買った奴隷?」
「ああ、そうだ」
俺は、機嫌よく応える。
「よろしく〜」
「よろしくだな」
「よろしく」
「……。(一礼」
どうやら、気にしてる様だな…。
「大丈夫だ、こいつらは気にしない。それに、お前の喋り方は確かに独特だが。それも、お前の良さだ心配ない」
そう言って、頭を撫でる。頭の耳がピクピクしてる。かわゆす。
「よ、よろしゅう」
「うん」
「よろしくだ」
「よろしくね」
「じゃ、出るとするか?商人、此処の奴隷ちゃんと解放しといてくれよ?それとだが…奴隷を売るだけじゃなくて他の物も色々売ってみたらどうだ?。雑貨屋みたいにな。今より利益が上がるはすだ。後、最後にサービス。」
俺は商人に近づき、右目を手で覆う。そして、いつもの様に指を鳴らす。
「右目、見えてなかったんだろ?これで見える筈だぜ」
覆ってた手を戻す。
「なっ、ななな。はっ、み、見える…」
商人のオッサンは驚きながらも喜び、あたりを見渡している。うん。キモい早よ出よう。
「んじゃ、行くか」
「ご主人、カードの方はバッチリだぜ」
「しゅぱぁつぅーー」
「うん、行こう」
「……。(こくこく」
こうして、奴隷商を出てこんどはギルドを目指すのであった。
それと、この奴隷商は遠くない未来に総雑商に名前を改め食料、家具、雑貨、奴隷など凡ゆる物を売り出し、この世界の3本指に入る商会へと成り上がる事になる。