2.紅蓮の少女
23話目「紅蓮の少女」
エンドレス討伐のときの話が聞きたいのですか。ではお話しましょう。
あの日は、ちょうど今日のようによく晴れた日でした。西の山々の山頂を越えて少し行ったあたり。そこに『エンドレス』はいました。それまでは程よい風が吹いていて過ごしやすい暑さだと思っていたのですが、そこに近づくにつれ、気温が上昇していくようでした。当時の私は九つから十になってすぐ。当然、空気を読むなんてことができるはずもなく、一人の傭兵と喧嘩になってしまったんです。
「おい、あのちっせぇの誰の連れだよ。こんなところにガキなんて連れてきやがって」
「ちょっと、さすがに聞こえますって!」
小声でこそこそやってるのは全部聞こえていましたが、少し前を歩いていた方が男性としては少しばかり小柄な方でしたので、その人のことを言っているのだと思ったんです。そうしたらですね、私のほうに近寄ってきて、なんだかんだ文句を言ってきて頭を触られそうだったので、しゃがんで避けてちょうど落ちていた木の棒を拾って殴ったんですよ。そうしたら、意外にも吹っ飛ばしてしまって、飛んでいった先が運悪く細い木でして、二本か三本くらい折ったのかな。そのくらい飛びました。
エンドレスはですね、強かったですよ。おじいさんとおばあさんから一振りずつ貰ったこの刀。この刀身を折られまいと必死でした。水系統の氷や冷気の魔法で辺りを冷やしてもらっていた以外は、なんの援護もありませんでした。あそこで魔法の一つでも矢の一つでも援護があれば、もっと楽に斃せたはずなのに、誰も、誰も、誰も! ……ごめんなさい、つい昂ぶってしまって。
結果としては、十二時間に及ぶほぼ孤独な激闘の末、脚を落とし、尾を落とし、首を落として、半分に裂いたんです。確かに、埒が明かないと思って、最初に暴発するのが分かりきった魔法を使って、前列の盾隊の人たちを全員ぶっ飛ばしたのは私ですけど、私だって痛いんですよ! なにせ、この魔法は中級でも上位か最上位とされる魔法なんですから、それ相応に威力もあるんですからね。援護射撃の一つもないなんて、ひどいと思いませんか? ねえ、思いますよね?
は、はい。まあ、確かに過ぎたことですし、私だけボロボロになりながらも、魔法を掛け続けてくれた人たちもクタクタになりながらも、全員無事に、大半は無傷で帰ってこれたんだから、結果としてはいいと、思うんです。……その内容があまりにも理不尽すぎるだけで。




